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2018年12月の記事は以下のとおりです。

悪意

  • 2018/12/27 07:20
  • カテゴリー:読み物

おまえには作家になる才能はあると思うよ。だけどそのことと、作家になれるかどうかってことは別だ。もう一ついうなら、売れる作家になれるかどうかってことも才能とは関係ない。そこまで行くには、特別な運ってものが必要なんだ。これは幻みたいなものでね、誰もが掴もうとするが、絶対に思い通りにはならない

東野圭吾著「悪意」(双葉社、96年)から(p196)。加賀恭一郎シリーズ第4作(初出95年8月-、96年9月刊)、この中で加賀は、依然、警視庁捜査一課の刑事だ。前作の第3作(96年6月刊)で練馬署所属だった。刊行の順が逆になったのだろう。

加賀のおおよその年齢が判る。中学の社会科教師として「新卒で赴任」したものの、「二年で教鞭を捨てる」(p28)、それが「十年前」(p122)のこと。単純に計算すると、大学四年卒22歳に12年を加えて34歳となる。パソコン通信で原稿をメール送信する話が出て来るこの第4作は、90年代前半の設定だろうか。ならば、加賀は、1960年前後の生まれのはず。なお、第2作「眠りの森」(89年刊)では、「三十前後に見え」るとある(p15)。

年賀状じまい

年齢層は60代から80代で、平成最後を節目に、人生の終わりに向かう準備の一環として年賀状を見直す人が多い

年賀状じまいをする人が増えているそうな。改元も、そのきっかけになるんだな。「今年限りで失礼します」(NHK Web News、2018年12月25日 20時05分)から。

おれが年賀状を出すのを止めたのは十年ほど前のこと。平成20(2008)年分からだ。中島義道著「人生を<半分>降りる」(新潮OH!文庫、2000年)に「年賀状はもう何年も出していない」とあるのを読んで、そろそろおれもそうしよ、と思った。すぐには止められなかった。数年かけて義理を欠く作業を徐々に進めた。07年から二年間、社内ビジネス・スクールを受講。それにかまけて、完全に、出すのを止めたのだった。

江夏の21球

  • 2018/12/25 07:05
  • カテゴリー:読み物

それから約二十六分間、江夏は大阪球場のマウンドに立ち尽くし、”勝者”と”敗者”の対角線上を激しく往復する。

山際淳司著「スローカーブを、もう一球」(角川文庫、85年)は、最寄り図書館の文庫本棚にあった。引用は、二番目に収載の「江夏の21球」から(p40)。攻守各々の選手や関係者らが、あのとき、状況はどう見えていたのか、何を考えていたのか、とインタビューに応える。それによって構成するという点では、この話と先日ふれた「ロストフの14秒」はよく似ている。ただし、対象となる場面の時間は、ロストフの方はタイトルにある通り14秒。江夏の場合は、「正確にいえば二十六分四十九秒」(p59)だった。

どちらかが彼女を殺した

  • 2018/12/24 23:40
  • カテゴリー:読み物

殺人事件は日常茶飯事だが、時刻表トリックも密室もなく、ダイイングメッセージもない。そして現場は孤島でも幻想的な洋館でもなく、生活感溢れる安アパートや路上だ。動機といえば殆どの場合が、「思わずカッとなって」である。それが現実なのだ。

とあるのは、誰かや何かに対する当て擦りか皮肉だろうか。東野圭吾著「どちらかが彼女を殺した」(講談社ノベルス、96年)から(p160)。加賀恭一郎シリーズ第3作、加賀は本庁ではなく所轄の練馬警察署にいる。

容疑者は二人。謎解きはされず、読者も推理に参加する。実際のところ、読み終えて、男と女どちらが犯人か判然としなかった。今一度ぱらぱらと拾い読みして、加賀が言う「破壊」(p142、244)が重要な意味を持っていることに気付いた。被害者がかつて開けた封筒、現場に残された粉薬の小さな袋二つ(指紋の偽装あり)、そして、もう一つ、薔薇の絵が描かれたゴミ箱に捨てられた薬の袋、各々の破り方を加賀は比べた。それによって、事件は自殺ではなく他殺であることを、そして、それを実行した犯人を、彼は知った。なるほど。それならば、犯人はこっちだ、とおれも確信が持てた。

# 眠れる森の美女(p225)

次郎さんの魚が笑ってる

この線彫りの線も手書きと判る波のように揺れている線の方がいいと思う。命というものだっていつでも揺れているし、気分というものもそうだ。

地元ケーブル局で放送(12/17)された「次郎さんの魚が笑ってる-沖縄の陶工・金城次郎」(NHK特集、87年11月)から。番組の中で、当時の壺屋の風景がちらっと映る。場所を特定できるかどうか、あらためて観てみようと思う。

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