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原発の不正と社会の責任

中部電力、浜岡原発のデータ捏造のことを数日前に書いた。
 
不正を働いた電力会社は責任を免れない。一方で、彼らにそうせざるを得ないように追い込んでいったものがあるのではないか、と気になった。
 
私が先日ここで書いた文章に基づいて、Google AIモードをディスカッションし、以下のまとめを得た。「
 
【骨子:浜岡原発データ不正から見る「失敗の本質」と現代社会の責任】
 
組織論的分析:日本型組織の脆弱性
  • サンクコストの呪縛:巨額投資を理由に撤退できない心理が、安全確認より再稼働を組織の絶対命題に変えた。
  • 不都合な真実の隠蔽:現場のデータ改竄は、組織のメンツや結論ありきの空気を優先する旧日本軍と同じ閉鎖性の現れである。
  • 歪んだ正義感:国策に従事しているという選民意識が、規制や批判を邪魔者と見なす独善性を生んだ。
政府・当局の責任:撤退の選択肢なき国策
  • プランBの欠如:原発への回帰を国策で固定し、撤退基準(損切り)を設けない硬直性が、現場を嘘という破滅的な適応へ追い込んだ。
  • 責任の丸投げ:政治が負うべき最終的なリスク判断を、現場のデータという科学の儀式に丸投げし、担当者に過大な重圧を強いている。
メディアの責任:対立の煽りとプロセスの軽視
  • 二元論的報道:白か黒かの議論を強いることで、事業者が中間的なリスクを正直に開示できない沈黙の強制を生んでいる。
  • 感情的批判:構造的・技術的な深掘りよりも、「資格ない」「裏切る」などと表現することでバッシング(人格攻撃)を優先し、組織をより閉鎖的にさせている。
  • 監視の偏り:結論のみを追い、長期化する審査プロセスの不健全さや現場の疲弊を放置してきた。
一般市民の責任:非難の消費と無意識のプレッシャー
  • ゼロリスク信仰:わずかなリスクも許容しない世論が、現場に完璧な嘘をつかせるインセンティブを与えている。
  • 非難の消費:メディアが非難を売るのは、市民がそれを欲して消費(エンゲージメント)するからであり、メディアは市民の鏡である。
  • 矛盾する要求:安価な電力という恩恵を享受しつつ、それに伴うリスクやコスト、不都合な現実の議論から逃避している。
克服への視点
  • DXによる透明化:ブロックチェーン等の技術で、データそのものを改竄不能なシステムに委ねる必要がある。
  • 失敗の許容:不都合な事実を早期報告した者が評価される心理的安全性の構築。
  • 複雑さへの耐性:単純な勧善懲悪に逃げず、不確実なリスクと向き合う成熟した知性を社会全体で育む必要がある。」
 
組織の閉鎖性や、政府の撤退なき国策、メディアの非難の構造、市民のゼロリスク信仰。この四者の構図の中で、電力会社は喘いでいる。
 
果たして、今回の原発不祥事を、社会は内なる脆弱性と無関係でないと認識し、システムと文化の両面から作り直す契機にすることができるだろうか。
 
浜岡原発、失敗の本質(サイト内)

灯台からの響き

  • 2026/01/14 07:02
  • カテゴリー:読み物
そんなに可哀想がらなくても。社会人になったのよ。つらい思いをするのは当たり前じゃないの。みんな多かれ少なかれ苦労が始まるのよ
 
父親が、就職した息子は苦労してるんだろうなぁと心配すると、娘(姉)はそんな風にコメントする。宮本輝著「灯台からの響き」(集英社、2020年)から(p149)。
 
いつだったか、近所の中学生二名が職場に来ていた。職場体験のプログラムとかで、二日間に渡って仕事を手伝ってくれた。のだが、彼らには、どれもこれも、興味の持てる作業ではなかったようで、不承不承の様子だった。
 
ちょうどその頃にこの本を読んでいて、引用した箇所が印象に残ったのだった。つまらない作業、つらい仕事。働くとは、基本的に、そういうことなのだ。彼らはそれを学び取ることができたのだろうか。
 
返却期限が来て、結局、読み終えずに返すことになった。また近い内に、もう一度、借りてこよう。
 
愛読書十選 (1)(サイト内)

癒えない傷跡

I hate it when you're in this sort of mood, Harry.
 
サムがアンドリューに言う。彼の気難しい態度に、困惑して、少し不快にも感じている、そんな様子が上手く演じられていた。字幕は「不機嫌なあなたにはまいるわ」。
 
「刑事フォイル」第3シリーズ第2話「癒えない傷跡」(2004年)から。【公式 期間限定全話無料配信】をYouTubeで観た。
 
サムは、Samanthaを縮めたもの。では、彼女がHarryと呼びかけるのは、アンドリューのことなのだろうか。AIに尋ねてみた。ドラマは、1941年頃のイギリスを舞台にしている。
 
Google AIモードの回答。「当時の視聴者や登場人物が、不機嫌なAndrewを、Harryと呼ぶ際に想定されるのは、主に以下の3点です。
 
1. 王室メンバー(ヘンリー王子)へのなぞらえ
当時、現役の王室メンバーにはヘンリー王子(Prince Henry, Duke of Gloucester)がいました。ヘンリー王子は「Harry」の愛称で親しまれ、同時に「内気で不器用」「社交の場でぎこちない」といったイメージで語られることもありました。そのため、気難しい態度に対して、彼になぞらえて「ハリー(ヘンリー王子)みたいね」と皮肉った可能性があります。
 
2. 「Old Harry(悪魔)」という言葉遊び
英語の古い表現で "Old Harry" は「悪魔(The Devil)」を指す隠語です。Harryと呼びかけることによって、「まるで悪魔(Old Harry)に取り憑かれたように不機嫌ね」という皮肉を込めている可能性があります。
 
3. 一般的な「everyman(誰でもない誰か)」としてのHarry
英語には "Tom, Dick, or Harry"(どこにでもいるような奴)という表現があり、あえて本名ではなく別の名前で呼ぶことで「またいつもの気難し屋さんが始まった」と突き放すようなニュアンスを出すことがあります。
 
へえそうなのか。聞いてみるもんだなぁ。
 
年末年始の番組、25-26年(サイト内)。刑事フォイル|Wikipedia

年末年始の番組、25-26年

年末年始にテレビ番組は、ほとんど観なかった。NHKだと「未解決事件」#09「世田谷一家殺害事件」ぐらい。本放送を見逃したドラマ「ひらやすみ」は再放送されたのだけれど見ず仕舞い。結局本編は全話観た大河ドラマ「べらぼう」、その総集編は、又吉直樹が扮する宿屋飯盛が語り(案内役)という点が引っ掛かりアクセスしなかった。YouTubeでは、少し前の英ドラマ「刑事フォイル」を何本か観た。
 
一方で、ラジオの方は、「ニュースで読み解く2025」や、「徹底対論・日本の政治を問いなおす」第6回、朗読・司馬遼太郎「昭和という国家」(松重豊)、「“戦争と分断”の世界を生きる 2026新春」など多数。ラトルが振るバイエルン放響のモーツアルト39、40、41も聴いた。
 
録音(ダウンロード)はしたものの、そのままにしているものがある。ぼちぼち聴くことにしよう。「ザ・ベストラジオ 2025」や、「生誕80年 ムーミン谷からの手紙」、「英語からみる2025年ニュースこの1年」、「ラジオ100人インタビュー 山寺宏一/春風亭昇太」、「ヤマザキマリラジオ#17 指揮者・広上淳一が登場!」など。
 

浜岡原発、失敗の本質

浜岡原発のデータ不正に対し、在京六紙は、挙って社説で激しく非難した。
 
原発データ不正 審査の根幹再び揺らぐ(朝日、1/7)
浜岡原発のデータ不正 中部電に運転の資格ない(毎日、1/7)
原発データ不正 何が現場を焦らせたか(東京、1/7)
浜岡原発の不正 安全性揺るがす深刻な事態だ(読売、1/7)
原発の安全性揺るがす中部電データ不正(日経、1/8)
浜岡原発で不正 信頼の基本裏切る事案だ(産経、1/9)
 
この6本にざっと目を通して思うことがあった。現代の原子力事業と昭和期の旧日本軍、両者には驚くほど多くの共通点がある、と。
 
数千億円の安全対策費を投じたんだ、今さら引き返せない、という経営判断が優先され、審査を通すことは、安全の確認ではなく、組織の絶対命題にすり替わった。それは、これまでに既に多大の犠牲(サンクコスト)を払った、ここでやめては英霊に申し訳ない、という論理が働き、客観的な勝算がなくても戦線を拡大し続けた旧軍と同じではないか。
 
地質調査などで「活動性あり」を示唆する不都合なデータを現場レベルで書き換え、組織の筋書きに合わせようとした。科学的客観性よりも、組織のメンツや、予定された結論を優先する、この閉鎖性は、ノモンハン事件やミッドウェー海戦の損害などを、士気が下がるとして、隠蔽、改竄し、都合の良いデータだけで作戦を立て続けた軍部と同じ体質だ。
 
原子力推進が国策であるという自負により、事業者の中に、多少の強引な手法も国家のためという歪んだ正義感や、外部の規制当局や批判勢力を邪魔者とみなす独善的な選民意識が生まれていた。これは、軍部が、国策を旗印に、政治や国民のチェックを拒絶し、暴走を正当化したことと軌を一にする。
 
一度始めたことは、どんなに状況が悪化してもサンクコストを理由にやめられない、という日本型組織の弱点が、80年以上経った今、最も高度な安全性が求められる原子力という現場で、再び「嘘」という形で噴出してしまった。
 
「引き返せない」「身内を守る」「空気に従う」という構造的脆弱性は、日本人が持つ「誠実さ」「勤勉さ」「協調性」という美徳の裏返しなのだろう。だから、どこのどんな組織にもあるし、いつでも起きる。過去の話や、特定の業界の話と切り捨てることはできない。我々の内にある脆弱性を常に自覚し、意識的に、風通しの良さや、外部の視点を取り入れ続ける必要があるだろう。
 
さて、この一週間の六紙社説は、そのほかに、米国のベネズエラ攻撃や、中国が輸出規制を強化、米国の国際機関脱退、などを話題にした。
 
六紙社説、失敗の本質(いずれもサイト内)。野中郁次郎ら著「失敗の本質 日本軍の組織論的研究」(ダイヤモンド社、1984年)
 
追記)デジタル・トランスフォーメーション(DX)の遅れもある。例えば、改竄が不可能なブロックチェーン技術で観測データを即時に、記録、公開するような、システムによる透明性が担保できたはずだ。精神論に重きを置き、竹槍で米軍の重火器に立ち向かおうとした旧軍を彷彿とさせる。

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