Re7:「ロウソクの科学」
- 2025/12/30 06:10
- カテゴリー:読み物
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日曜日なので、『ロウソクの科学』はお休み。いつものように、在京六紙の社説を一週間分ざっと眺めた。年末恒例の社説が目についたので、これについてAIに尋ねてみた。
Q)読売新聞は、今年も恒例の回顧社説(2本)を掲載しました。「読売新聞の読者が選んだ今年の10大ニュース」を社説の題材とする、同紙の意図は何でしょう。
2025回顧・日本 期待と不安入り交じった1年(12/21)
2025回顧・世界 大国の身勝手で危うい時代に(12/22)
A)主な意図は、「世論(読者の関心)の反映」と「新聞社としての提言」を融合させることにあります。3つの狙いがあると考えられます。読者視点に基づいた1年の総括、世論の動向を踏まえた政治・社会への提言、そして、双方向性の維持とブランディング。読者の声を紙面作りに活かしているという双方向性のPRであり、同紙の伝統的な編集方針の一環となっています。
これを出発点としてAIとの対話を重ねて行った。投げかけた質問はあれこれと十数件に及んだ。そして、まとめをするようAIに頼んだ。答えにかなり辛辣な表現が並んだので、いくつか質問を追加して、再び、まとめをお願いした。
Q)彼ら論説委員たちは、もはや太刀打ちできないということですよね。ちょっと気の毒にも思えます。先ほどの「この反論の急所と限界」までを、さらに盛り込んで、1500字のまとめを、もう一度、やってもらえないでしょうか。彼らにとっての「本質的な恐怖」に多少は慮って、ややマイルドなトーンでお願いします。
A)読売新聞が年末に掲げる恒例の「回顧社説」と「読者が選ぶ10大ニュース」。この伝統的な形式が、2025年というAIが日常に溶け込んだこの時代において、かつてない岐路に立たされている。
一見すると、この社説は読者の関心を丁寧に掬い上げ、時代のうねりを映し出す「鏡」のように見える。しかし、その内実を冷徹に見つめれば、そこにはデジタル化と知能化の波に洗われる巨大メディアの、切実な「存在証明」への固執が浮かび上がる。
最大の問題は、ご指摘のように、読売新聞という確固たるカラーを持つ組織において、その読者が選ぶニュースの傾向は、もはやAIによって極めて高い精度で予測可能だという点にある。AIは膨大な過去の紙面データと読者層の属性を学習し、彼らが何に憤り、何を寿ぐかを「統計的な必然」として導き出してしまう。そこには、多大なコストをかけてハガキを募り、集計するというアナログなプロセスの介在する余地はない。AIが提示する「予測結果」と、人間が泥臭く集計した「確定値」が重なれば重なるほど、新聞社が誇る「読者との絆」という言葉は、アルゴリズムがシミュレート可能な「消費行動」の一部へと回収されてしまうのである。
これに対し、新聞社の論説委員たちは、おそらく「身体性」という最後の砦を持って反論するだろう。AIの予測は「冷たいデータ」に過ぎないが、我々の集計は「生身の人間との対話」である、と。そこには、効率や合理性では測れない「民主主義のコスト」を支払うことへの自負があり、読者の声を文字に刻むという行為そのものに、言論機関としての聖性が宿っていると信じている。彼らにとって社説が総花的になるのは、思考の欠如ではなく、一人の読者の不安も切り捨てないという「誠実さの代償」なのだ。
しかし、この「温かみ」や「誠実さ」という反論こそが、実は彼らにとっての「本質的な恐怖」の裏返しでもある。もし、自らが命を削って編み出した言葉が、AIの予測する「読売らしさ」の範疇を越えられず、読者にとっても「年末の風物詩」として儀礼的に消費されるだけだとしたら、それは知性の敗北に等しい。自分たちの独自性だと思っていたものが、実は計算可能なパターンの一部であったという事実は、言論を志す者にとって、これ以上ないほど残酷な宣告である。
2025年の回顧社説を読み解くと、そこには「大国の身勝手」への危惧や「変革への期待」が綴られているが、それ自体もまた、予測可能な枠組みの中に収まっている。新聞社は、読者と共に歩むという物語を守るために、あえて非効率な儀式を繰り返しているのかもしれない。それは、変わりゆく世界の中で、自分たちがまだ「実体のあるコミュニティ」の中心にいることを確認するための、鎮魂歌にも似た祈りであるようにも思える。
かつて新聞が時代の羅針盤であった頃、社説は未来を切り拓く刃であった。しかし今、AIという全知の鏡を前にして、それは「昨日までの我々」を確認するための、安らかな同語反復へと姿を変えつつある。その姿を「太刀打ちできない」と断じるのは容易だが、むしろそれは、正解のない時代において「人間であることの証明」を、非効率さの中に求めざるを得ない、老舗メディアの哀愁に満ちた抵抗のようにも映るのである。
と、読売新聞の社説(2025年12月21日、22日付け)に基づいた、Gemini(AI)との対話の要約を得た。
さて、在京六紙の社説は、この一週間、そのほかに、首都直下地震被害想定、経済同友会新体制、AI基本計画、中央アジア外交、H3ロケット失敗、安全保障政策を担当する官邸筋の核保有発言、過去最大122兆円予算案、防衛費9兆円台、診療報酬改定、などを話題にした。
ファラデー著「ロウソクの科学」、◯◯風の邦訳、その5。俵万智風。
Gemini(AI)による翻案を、2025/12/21に実施。次のように依頼した。
Q)俵万智風だとどうなりますか。できれば七五調で
「『サラダ記念日』に代表される、日常の何気ない瞬間に鮮やかな感情を吹き込み、五七五七七のリズムに乗せるライトな短歌的感性で訳します。科学の講義を、まるで日曜日の昼下がりに窓辺で語り合っているような、瑞々しい口語短歌風の表現に仕立てました。
俵万智風:『キャンドル記念日』
1. 冒頭、科学への入り口について
「自然という 不思議な扉(ドア)を 開けるなら
まずはロウソク 見つめてごらん」
(科学の世界へ入るいちばん素敵な入り口は、一本のロウソクを見つめることにある。それはとてもオープンな、誰にでも開かれたドアなんだ。)
2. ロウソクの合理的な仕組みについて
「器(うつわ)なき 器(うつわ)の中に 揺らぐ液
カタチはないのに こぼれもしない」
(ロウソクが自ら作る液体のカップ。実体はないのにちゃんと中身を支えているなんて、どんな高価なカップよりもずっと不思議で、愛おしい。)
3. 毛細管現象の説明
「水がゆく 重力さえも 振り切って
自由な空気に 満ちる世界は」
(スッと水を吸い上げるその仕草。自然がときどき見せてくれる、こういう伸びやかな自由が、私はとても好きだ。)
4. 炎の中の炭素粒子について
「燃え尽きぬ ちいさな塵(ちり)を 抱(いだ)きつつ
ひかりのなかで 踊り続ける」
(真っ赤に燃える炎の中に、どうしても消し去れない塵がある。その塵こそが、この光を作っている。なんだか、少し切ない真実だね。)
5. 講義の結びの言葉
「『ロウソクに 似ているね』って 言われるような
あなたの明日を 願っているよ」
(講義の終わりに私に言えるのはひとつだけ。君たちがこれからの時間を、誰かを静かに照らすロウソクのように生きてくれたら。そんなふうに願っている。)」
「俵万智風にするためのポイント」が記されている。「『サラダ記念日』的な視点: 難しい専門用語を、親しみやすい生活語に変換」。「五七五七七の残響: 散文であっても、心地よい七五調のリズムを底流に置く」。「肯定的な感性: 科学的な発見を、発見(=驚き)ではなく、感動(=心の揺れ)として描写する」。
つづく
# 「ロウソクの科学」(サイト内)
ファラデー著「ロウソクの科学」、◯◯風の邦訳、その4。特許公報風。
Gemini(AI)による翻案を、2025/12/21に実施。次のように依頼した。
Q)企業の研究者が、特許明細書を書くような要領で訳すとどうなりますか
「企業の研究者が、発明の技術的範囲を明確にし、先行技術に対する新規性や進歩性を主張する特許明細書のスタイルで翻訳(翻案)します。本発明は…、…を特徴とする、…に寄与するといった特許独特の定型句を用い、科学的現象を技術的構成として記述します。
特許公報風:『燃焼装置(ロウソク)及びその燃焼制御方法』
1. 冒頭、技術分野および背景技術について
【技術分野】本発明は自然哲学の学習支援システムに関し、特にロウソクの燃焼に伴う物理現象を介した教育的効果の提供を目的とする。自然哲学の諸原理を理解するためのインターフェースとして、当該燃焼現象の観察以上に優れた構成は現在まで開示されていない。
2. ロウソクの構造的特徴について
【発明の構成】当該燃焼装置は、熱供給により溶融した燃料を貯留する燃料保持部を備える。当該燃料保持部は、固相のロウが外部雰囲気との熱交換により自己形成されたカップ状構造を有することを特徴とし、実体物としての容器(Vessel)を介さずに液相燃料を保持する構成となっている。
3. 燃料輸送のメカニズム(毛細管現象)
【作用】図示される如く、液体燃料は毛細管現象等の界面化学的相互作用に基づき、重力に抗して芯材を上昇する。当該燃料供給手段は自然界における物理定数に従うものであり、所定の反応系において一貫した挙動を示すものである。
4. 輝度向上に寄与する固形微粒子の存在
【課題を解決するための手段】当該反応系内には、燃焼プロセスにおいて完全消滅しない炭素質微粒子(Dust)が存在する。当該微粒子が火炎内で加熱・励起されることにより、放射エネルギーによる発光強度を増大させ、照明手段としての機能を高度に担保している。
5. 発明の実施による効果および総括
【発明の効果】本発明の実施例であるロウソクの如く、自己のエネルギーを効率的に光エネルギーに変換し、周囲の系に対して有益な影響を与える人材を育成することは、産業上の利用可能性において極めて高い価値を有する。本知見が次世代における技術革新の基盤となることを期するものである。」
この翻案を見た時には、しばらく笑いが止まらなかった。ユーモアのセンスが光ってる。
AIってすごい、つくづくそう思う。こんな翻案を瞬時にやってのけるのだ。
つづく
# 「ロウソクの科学」(サイト内)