三菱重工がジェット旅客機の開発を断念。22日に毎日新聞が社説を掲載した。これで在京六紙の社説が出揃った。
「致命傷は、TC取得のノウハウが無かったことだ」(東2/10)。TCとは機体の安全性などを証明する型式証明のこと。「技術だけでは事業化には至らないというのも、今さらではあるが重要な教訓だ。だが、果たして技術力そのものも十分だったのか」(朝2/14)
「自力で航空機全体を設計・製造する能力は不十分だった」(読2/14)。「自前の技術を過信し、海外の先進技術を取り込むことに慎重すぎた」(産2/15)
「歴代経営陣の責任は重い」「問題なのは、弱点を認識して早期に対処するという基本動作を怠ったことだ」(毎2/22)。本社・三菱重工と事業会社・三菱航空機との間で「主導権争いもあったとされる」(経2/10)
開発ノウハウ、技術力、それに経営陣の力量、どれもこれも足りない、と断ずる。各紙とも手厳しい。
その矛先は、本事業に5百億円もの血税を投じた国にも向けられる。「官庁には、有望な技術を見極める能力が欠けているという自覚が求められる」(朝2/14)と。ま、確かにそうなんだろうけれど、そう言う新聞はどうなんだ。
例えば、各紙社説は、W杯カタール大会で16強止まりだったサッカー日本代表に対して、ダメだったけれどよく頑張ったね、と手放しで称賛した。これは、良くて16強、優勝なんてあり得ないと最初から見限っていたからだ。
国産旅客機開発の失敗に対しては、どの社説も、ダメだったけれどよく頑張ったねとは言わない。これは、成功するものと勝手に決め付けていたからだろう。「有望な技術を見極める能力が欠けている」のは、官庁だけでなく新聞も、ということだ。
さて、2/20wの六紙社説は、そのほかに、北朝鮮のICBM、立憲民主党大会、米中外交トップ会談、商工中金改革、竹島の日、ガーシー氏処分、原子力規制委の議論、露ウクライナ侵略1年、核軍縮の停止、はだしのゲン、沖縄北部の無人島、マイナンバーカードの普及、日銀総裁候補の所信などを話題にした。
# 六紙社説、サッカー日本、戦い終えて(いずれもサイト内)