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カテゴリー「工芸・美術」の検索結果は以下のとおりです。

ガタつくワゴン

金槌を持つと、何もかもが釘に見える

道具の法則。道具が一つなら、それが万能のように思えて、何にでもそれを振り回す。古くからある戒めだが、"If all you have is a hammer, everything looks like a nail."というマズローの言葉がつとに知られている。あの欲求五段階説で有名なマズローだ。

特定の道具、手段、方法論に固執することで、視野が狭まり、大事なことを見落としてしまう。または、事を成し遂げるには様々な方法やアプローチに拠る必要がある。または、手段は目的のためにあって、手段が目的になってはならない。そんなことを戒めている。

先日、LDKに置くワゴン(#47)をつくった。作業最終盤、底板の取り付けで一か所が2ミリほどずれるとという大失態をやらかした。何本かネジ止めすることに熱中し、きっちり位置合わせすることを怠ったのだ。完成後、全体がガタついたので、そのミスに気付いた。

ガタつきを修正しながら、金槌と釘の戒めを苦々しく思い起こした。これは、喩え話じゃないな、電動ドライバーとネジで、まさに、金槌と釘を実体験してしまった、と。

於牣魚踊(サイト内)。Law of the instrumentAbraham Maslow|Wikipedia、シベリアンヒッチ

於牣魚踊

古いファイルを整理していると、「於牣魚踊」と刻まれた丸窓を撮った写真があった。
 
最初見た時、4文字の内、魚踊の2文字が読めたので、それを手掛かりにweb検索。4文字すべてが確認でき、新宿御苑にある台湾閣の中に設けられた窓ということが判った。そこで撮ったことはすっかり忘れていた。
 
「於」は感嘆詞。「牣」は満る。つまり、「ああ、水が満ちて、魚がはね踊っている」という意味らしい。庭にある池の情景を詠んでいる。元は「詩経」に登場するようだ。
 
孟子は、梁の国の恵王に会った折、「詩経」のこの話を紹介した。昔、周の文王が庭を造ろうと計画したら、民がやって来てさっさと造ってしまった。その庭には鹿や鳥が集まり、池では魚がはね踊ることになったと。そして言った。文王は民と一緒になってそれを大いに楽しんだ。賢者であればこそ、その楽しみを知っていると。
 
鳥や魚が群れるのは国が栄える喩え。治世は、人徳のある王によってなされる。民は国のために働き、国土は潤い繁栄する。孟子は、そんなことを説いたのだと思う。
 
さて、その丸窓の文字、篆書というのだろうか味わいのある書体だ。それを窓の格子としてはめ込む、なかなか趣がある。何か気の利いた文言をそんな書体で彫り刻み額装するだけでもいいかもしれない。木工でつくることを検討してみよう。
 
孟子/梁惠王上|Wikisource。卓上小物入れ(サイト内)。41) アンガマ額装a、42) 歯磨き道具入れ、43) 白い店舗小物、44) 線彫りY額装、45) 白い商品棚2つ、46) 菱形十二面体の星形、47) 酒類ワゴン

菱形十二面体の星形

この本で、興味深い(intriguing)という言葉を頻繁に使わっているが、その表現はこのパズルにこそ相応しい(図88)。

Stewart Coffin氏はそんな風に書いている。インターネット上で読むことができる、同氏の著作"The Puzzling World of Polyhedral Dissections"、その第7章にて。

斜めの組木パズル(diagonal burr puzzle)、その6ピースで構成されたタイプ(図86)を原型として、各ピースの両端を面取りすると、この菱形十二面体の星形になる。

パズルと呼ぶには、その解はあまりにも簡単だけれど、きっちり組めるように正確につくるには、「ある程度の器用さと忍耐」(some dexterity and patience)が必要。氏は、電動工具の使用をすすめている。

今回、この星型をいくつかつくってみることにした(#46)。プレゼント用の小物が切れたのでその補充ということもあるし、手技を試したい気持ちもあって。

角材をつくって、白書きで墨線を入れる。その線ぎりぎりにノコギリで切る。0.2か3ミリほどの切り残しを、ノミを当ててすぅーとそうじし、墨線ちょうどに調整する。と、普段でも電動工具は使わず、ノコギリとノミは手作業。今回は、アサリ無しのノコギリを墨線ちょうどに入れて、切りっ放し、ノミでの調整なし、にチャレンジした。

案外うまくいくもので、かなりきっちりに仕上がった。とは言え、1ピース当たり8か所にノコギリを入れる。全6ピースで合計48か所。それもすべて斜め45度に切り込む。1セットを終えるのに小一時間は要した。忍耐まではいかないまでも、それなりの手間はかかる。

あとで調べてみると、このパズル、「今や100円ショップで売られている」との記載を見付けた。ま、そういうこともあるのだろう。

Six-Piece Diagonal Burr(サイト内)。Stewart T. Coffin著、"The Puzzling World of Polyhedral Dissections"、Chapter 7 - The Diagonal Burr菱形12面体の星型2種|積み木インテリアギャラリー

黒田辰秋 ものづくり問答

今は芸術家ではなくて、芸術病に罹ってる者が多い。芸術家は人類を導き、人類の末迄も心配するだけの心ではならぬ。それを痛感せねば芸術家にはなれない。

美術評論家の青木正弘さんが、人間国宝・黒田辰秋(1904-1982年)の言葉を書き留めていた。若い頃に黒田の工房でアルバイトをしていたのだとか。

先日のEテレ「日曜美術館」(2/16)から。同僚にすすめられて、NHKプラスで観た。

学生時代に倉敷の市民オケで吹いていたこともあって、大原美術館とお隣の喫茶「エルグレコ」には何度か足を運んだ。その喫茶店では、どっしりとした椅子に座り、これはいいなぁと思ったものだ。それは、黒田辰秋作のテーブルセットを作者の了解を得て複製されたものだった。30年以上経ってからそのことを知った。当時はそんなことに興味もないし黒田の名も知らなかった。

京都国立近代美術館で黒田辰秋展が開かれている。3/2まで。その後は豊田市美術館で。

喫茶エル・グレコ(サイト内)。日曜美術館「黒田辰秋 ものづくり問答 森と海と人をめぐって」(NHK-Eテレ、2/16 21時)、「更覺良工心獨苦」

テーブルの塗り直し

当家で食卓に使っている、少し背の高いBar Table。先週末、この塗装をやり直した。

このテーブルは、東京での生活を始める際に買い足した。2006年のこと、船橋のIKEAで色々と購入し、レンタカーにぎっしり積み込んだ中の一つだった。BJÖRKUDDENという商品名が付されている。大きさは、70 x 70 x 102cm。

調べてみると、そのBJÖRKは、スウェーデン語でカバノキ(英birch)を意味する。実際の見た目も白樺か何かその類のようだ。一枚板ではなく集成材、天板はもちろん脚などの部材もそう。塗装はポリウレタンだろう。

作業前にバラした。IKEAの製品だ、すべてネジ止めで組まれている。組み立て同様、バラすのも簡単。

まず、グラスファイバーに研磨剤が塗布されたヤスリでオリジナルの塗装を剥がした。ダイソーの「メッシュヤスリ」、番手は、#150、#320、#600の3枚入り。#150で荒く落とし続いて#320で磨いた。作業は家人にも参加してもらった。ベランダを真っ白にして格闘すること数時間、満足のいく地肌になった。

翌日、蜜蝋ワックスを塗った。普段よりたっぷり塗布。半日置いて、まだまだ乾かないままに#400のペーパーで油研ぎを行った。雨が降る予報だったので、家の中に移し、全パーツ廊下に並べている。数日、しっかり乾くのを待つことにしよう。

ある意味、間に合わせで買った、安物のテーブルだけれど、ずっと使って愛着がある。少し手をかけて塗り直し、さらに大切に使おうと思う。

蜜蝋ワックス(サイト内)

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