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2024年05月の記事は以下のとおりです。

エヴァーギヴン号

  • 2024/05/31 05:58
  • カテゴリー:読み物

2021年7月、秘密の和解協定が成立したあと、解放されている。この事故全体の費用はまだ完全な評価はできていないが、保険会社が支払う保険金に関する限り、史上最も高額な海難事故のひとつになるだろう。

巨大コンテナ船、エヴァーギヴン号は、スエズ運河を航行中に強風と砂嵐に見舞われ、土手に斜めに乗り上げる形で運河を完全に封鎖してしまった。引用は、アラン・G・ジェイミソン著「沈没船からみる世界の歴史」(原書房、2023年)から(p298)

海運の大動脈を通せん坊してしまったのだ、そりゃ莫大な補償金が要求される。賠償条件が合意に達するまでの3か月ほど、船と積み荷はエジプト政府に差し押さえられていた。

このコンテナ船の所有者は、Wikipediaには、愛媛県の正栄汽船とある。そうそう今治造船の子会社だ。2021年3月の事故当時、矢面に立たされていたことを覚えている。

しかし、この船、「所有国は日本、船舶登録はパナマ、台湾の船会社エヴァーグリーン社にチャーターされ、日常的な管理はドイツの企業が担っていた」とか(p297)。

事故の責任は、果たして、所有者の正栄汽船一社だけが負ったのだろうか。その「秘密の和解協定」がどういう内容だったのか、ちょっと興味がある。

沈没船からみる世界の歴史(サイト内)。エヴァーギヴン|Wikipedia

賃金の日本史

  • 2024/05/30 05:57
  • カテゴリー:読み物

核家族世帯で夫の収入で専業主婦の妻と子供を養うという生計が、一部のサラリーマン世帯では可能であった二十世紀のある時期-具体的にいえば、その全盛期であった戦後の高度経済成長期-は、長期的にみればまったくのイレギュラーなものであったとみるのが自然なのかもしれない。

高島正憲著「賃金の日本史」(吉川弘文館、2023年)から(p247)。新着本コーナーにあるのを借りて来た。県立図書館。

裏表紙にこう書かれている。「奈良時代の日本最古の賃金記録から、明治時代の職人の収入まで-。史料を博捜し、昔の人びとの賃金の高さや生活水準に迫る分析手法を丹念に解説する。一五〇〇年にわたる日本の賃金史を、数字とデータで読み解く」。

データの性質や、推計や分析の手順や結果が「くどい」ほどに説明される。この学問領域では必須の要件のようだ。「数量経済史」と呼ぶのだそうだ。

最低賃金アップ、23年度(サイト内)

フォーレ、Pf五重奏曲#2

  • 2024/05/29 05:55
  • カテゴリー:音楽

各楽器が見事に絡み合いながら洗練された響きを生み出していく。フォーレの室内楽の最高峰に位置する作品

案内の人はそんな風に言うし、さあ聴くぞと構えるのだけれど、通して聴くにはかなり努力を要する。部分的には、例えば第3楽章、霧が晴れて行き、心地良さがただよう時間もなくはない。全体としては、音楽の輪郭はぼやけていて、捉えどころがない。この作曲家の室内楽はどうも性に合わない。

フォーレ作曲
ピアノ五重奏曲第2番ハ短調 作品115
セバスティアン・ボーレン(Vn)
ヒョンジュン・リーンツ・カン(Vn)
ハネス・バーチ(Va)
パトリック・デメンガ(Vc)
ベルント・グレムザー(Pf)
(34分3秒)
2022年7月14日収録
聖ミカエル教会(スイス、マイリンゲン)

デュメイ、コラールらが70年代に録音したフォーレ室内楽曲集が手元にある。主要な5重奏や4重奏はすっ飛ばして、Berceuse(作品16)や、Elegy(同24)、Fantaisie(同79)など、聴くのは専ら小品ばかり。

# マイリンゲン音楽祭週間、フランス音楽の名曲(3)フォーレとドビュッシー▽ベストオブクラシック(NHK-FM、5/22 19時半)、Sebastian Bohren、Hyunjong Reents-Kang、Hannes Bärtschi、Patrick Demenga、Bernd Glemser

Jアラート、24年5月

騒ぎはちょうど寝入った頃に始まった。正確な時間は覚えていないけれど、いずれも23時前後だった。スマホの防災アラートがけたたましく鳴った。防災那覇も喚く。地域の防災放送だ。大雨か、と思いきや、Jアラートだった。ミサイル云々と言っている。

そう言えば、NHKは、19時のニュースで、北朝鮮が人工衛星を打ち上げると通報して来たと伝えていた。27日以降と言っていたから予告初日だったわけだ。

webの記事によると、発射は、きのう、22時43分だったようだ。予告通りフィリピンの方へ飛んでいたとすると沖縄上空へは確か10分くらいでやって来る。果たして、Jアラートは避難に間に合う程のタイミングだったのだろうか。

4月は津波、先週は大雨。そして昨夜のミサイル。いずれも警報のアラートだけで済んでいる。酷いことの予兆でなければ良いのだが。米軍の普天間や嘉手納を狙って、ミサイルや爆撃機が飛来した場合には、いったいどんなことになるのだろうか。スマホのアラートがぎゅんぎゅん鳴り続けることになるのだろうか。

北からの発射、予告通りに定期通院、24年5月(いずれもサイト内)。北朝鮮「軍事偵察衛星打ち上げ 新型ロケットが空中爆発 失敗」(5/28 3時49分)

沈没船からみる世界の歴史

  • 2024/05/27 06:03
  • カテゴリー:読み物

この機械の技術的な知識は古代のある時点で失われてしまう。後に同じような技術を使った機械が登場するのはビザンツ帝国とイスラム世界においてだが、アンティキテラ島の機械ほどの複雑な構造が再び世界に登場するのは、西暦14世紀になって機械式の天文時計が発達してからのことである。

古い沈没船が、ギリシャ本土の南端とクレタ島の間に位置するアンティキテラ島沖で発見された。この船の遺物に「青銅の塊のなかに変則レバーと思しきものが見つかった」。これがのちに「アンティキテラ島の機械」と呼ばれることになる。引用は、アラン・G・ジェイミソン著「沈没船からみる世界の歴史」(原書房、2023年)から(p47)。

県立図書館の新着コーナーにあるのを見かけた。そのタイトルを見て、アンティキテラ島沖の沈没船のことがきっと出ているだろうと思って借りて来た。

「アンティキテラ島の機械」を載せた船は紀元前60年頃に沈没した。残念ながら、その機械に関連する技術、知識は失われてしまい、同じような装置が次に出現するまでに千年を超える月日を要した。それほどの特別性を持つ機械だった。制作者はアルキメデスの可能性があると何かの本で読んだことがある。

ふと、山上憶良の偉大さを思った。憶良は万葉集の中で貧富の差について語っている。これが、わが国の文学でそのテーマを取り扱った最初だと言われる。8世紀のことだ。次に貧富の差を書いたのは江戸時代の井原西鶴。しかし憶良ほどの真剣な議論となると近代まで待たねばならなかった。8世紀から19世紀まで、ここにも千年の空白があった。

アンティキティラ島の機械|Wikipedia、山上憶良|Wikipedia

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