2.26事件 (2)
- 2021/06/30 06:29
- カテゴリー:読み物
安藤は第六中隊の下士官たちに決行を具体的に全部打ち明けて指示を下達したのだが、命令とはいえ、事実上、協力を求めたのである。
全部打ち明ける。これができるかどうか、リーダーは問われる。松本清張著「昭和史発掘6」2.26事件Ⅱ(文春文庫、2005年、新装版)から(p427)
青年将校は、決行に部下の下士官兵を率いていくことで二つの悩みがあった。一つは、どう言って連れ出すのか。安藤大尉は正直に全部伝え、中隊を動かす。対照的に、第一中隊の坂井中尉は、警備出動だと偽って兵を連れ出している。もう一点は、武力使用をどう理論づけるのか。
二・二六事件を誘発する要因の一つ、真崎甚三郎教育総監の罷免(1935年7月)。統帥権の干犯だと皇道派の青年将校らは激憤する。しかし、武力行使に多数の兵を使用するのではこれもまた統帥権干犯だ。統帥権を死守するために統帥権を干犯する、この自己矛盾に彼らは悩み、何とか理論づけようとする(p248)。戦闘綱要にある独断専行とか、部下ではなく同志とか。
「真崎問題は統帥権干犯でもなんでもない」(p245)。三井合名の池田成彬筆頭常務理事(p93)、秋山定輔(p105)。「諸君ハ我日本ヲ改造進展セシムルニ最モ重大ナル責任ヲ有スル位置ニアルコトヲ光栄トシ、今後大イニ努力シ給ヘ」、北一輝の魔力(p181)。岩崎小弥太の避難準備(p236)。平時の一個連隊、三個大隊に各三個中隊(約150名/中隊)、機関銃一個中隊と通信隊、歩兵砲隊が付属(p262)。四十七士も2.26も「雪の日」、目標人物の在宅予想(p348)
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