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2021年01月の記事は以下のとおりです。

赤いくじ

  • 2021/01/31 07:08
  • カテゴリー:読み物

くじ引きということはたとえ好ましくない場合でも、心に不思議な愉しみを持たせるものである。

松本清張全集35巻「短編1」(文藝春秋、1972年)に収載の「赤いくじ」から(p327)。この短編の初出は1955年。

征服者になって要求した。貢物を持って来いそうすれば皆に酷いことはしないと。今度は逆に、征服される立場になって、酷い目に遭わされないよう貢物を用意する。人の卑しさは同じだろうと想像したわけだ。貢物として差し出す人身御供を「くじ」で決め用意万端。ところが新たな征服者はジェントルマンだった。

せんそうをよむ(サイト内)。モーパッサン著「脂肪の塊」

日米首脳電話会談

各紙の社説を見てみよう。

  • 日米首脳協議 国際協調 共に立て直せ(朝日、1/29)
  • 新政権下の日米関係 地域の安定を築く同盟に(毎日、1/29)
  • 日米電話会談 同盟深化へ意思疎通重ねたい(読売、1/29)
  • 日米首脳電話会談 なぜ「中国」を発信しない(産経、1/29)
  • 日米首脳協議 国際協調へ連携深めよ(東京、1/30)

ざっと読んで最も印象に残ったのは、産経の意見。「さまざまな問題を抱える中国に対して日米両政府がどのような姿勢で臨むのか。その発信がなかった」、それが「極めて物足りない」と。タイトルで「なぜ」だと問うている。

無難で穏当なタイトルを付けた他紙はどうか。お隣の大国について何も述べてないのか、そんなことはない。内容を見てみると、例えば、「難しい対応を迫られるのは、中国への向き合い方」(朝日)、「日米がまず取り組むべき外交課題は中国」(毎日)、「軍と海警局の一体化が進み、沖縄県・尖閣諸島周辺での活動が先鋭化する恐れ」(読売)、「軍事的、経済的台頭が著しい中国とどう向き合うかは、日米両国にとって引き続き難題」(東京)という具合。注目度が高いことは明らか。

一大関心事に対して一言もなかった。それに対して「なぜ」と問う産経の姿勢は潔い。対中外交の論調はさておき。

建築家なしの建築

これまでの建築史は、権力と富の記念碑を築いた建築家たちの紳士録みたいなものである。

金儲けのための芸術は、やはり、非難されるべきなのか。バーナード・ルドフスキー著「建築家なしの建築」(鹿島出版会、1976年)の「序」から(p13)。原著、"Architecture Without Architects" by Bernard Rudofsky, 1964

「華日記」で、食費を切り詰めてまで真の美しさを追究する、中川幸夫、半田唄子夫妻の姿を見た。流派という権力に抗い、家元の立場を捨てた二人には、安易に金を儲ける手段はない。ぎりぎりの生活の中で、ひたすら花に向き合った。芸術とはかくあるべきなのか。たまたま、その次に続んだ、本書「建築家なしの建築」でも同じことを考えることになった。

華日記ノースライト(ともにサイト内)。vernacular, anonymous, spontenous, indigenous and rural。486夜「建築家なしの建築」バーナード・ルドフスキー|松岡正剛の千夜千冊

コロナ下の春闘

2021年の春闘に関して六紙社説はどんなことを言っているだろうか。

  • 来年の春闘 経済萎縮の悪循環防げ(朝日、20/11/29)
  • 春の労使交渉を「ジョブ型」広げる契機に(日経、1/20)
  • 春闘経営側方針 賃上げの流れ止めるな(東京、1/21)
  • 経団連春闘方針 賃上げの流れを止めたくない(読売、1/21)
  • コロナ下の春闘 労使で課題克服の道筋を(毎日、1/27)
  • 春闘スタート 雇用と賃上げの両立図れ(産経、1/27)

賃上げに関して、論調はどこも似たり寄ったり。例えば、「業績に応じて賃金水準を決めるのは当然」「支払い能力がある企業は積極的な賃上げで従業員に応え」よ(産経)。お金はあるところにはある、企業の内部留保は「昨年3月末時点で475兆円」(読売)、上場企業に限っても「100兆円を超える手元資金を抱えている」(日経)。

コロナ禍で、「飲食や宿泊、交通など、収益が急激に悪化した業界」、職を失った「非正規労働者や女性」、「社会の一部にしわ寄せ」(朝日)。テレワークや人事制度など「新たな働き方を支える仕組みを議論すべき」(毎日)。大企業の姿勢が全産業での労使交渉に深く影響する、その経営側は「自らの持つ公共性を改めて認識すべき」(東京)。

「できるだけ多くの社員にジョブ型を広げ」よ、「ポストの獲得競争を活発にし、社員の能力向上を促せる」(日経)。NHK「時論公論」(1/19)はこう言っている、働く側の自己研鑽に任せるのには限りがある、「技術や知識で人材を評価する」のならば、社員向け「研修の強化に力をいれること」が「今、最も大事」。

コロナ禍の春闘 新たな働き方・人材育成への対応は(時論公論、1/19)

華日記

東京より日本が広い。日本よりアメリカは広い。しかし、頭の中はもっと広い」そういった意味の文章がある小説を昔どこかで読んだ。あれは夏目漱石の小説だったか

早坂暁著「華日記-昭和生け花戦国史」(新潮社、1989年)から(p114)。2年前にラジオの朗読特集で聞き、いつか原作を読もうと思っていた。

帯で登場人物が紹介されている。「幼い家元を擁立して家元制存続に腐心する池坊。前衛挿花で頭角を現す小原流・小原豊雲。生け花を巨大産業に成長させた巨人、草月流・勅使河原蒼風。戦前の大家・安達潮花。家元制に抗う孤高の異才作家・中川幸夫」。

花と心中(p170)、見事な椿の花(p186)

夏目漱石「三四郎」|青空文庫。朗読特集「華日記~昭和生け花戦国史」【作】早坂暁【朗読】藤田三保子(NHKラジオ第2、18/12/31-19/1/3 計6時間)。勅使河原蒼風中川幸夫|Wikipedia。

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