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2024年07月の記事は以下のとおりです。

アイデアが固まる時

芸術家が、一つの作品に取り組む。まずアイデアがあって、それは、ほぼ完成している場合もあるだろうけれど、多くの場合は、色んな要素を盛り込みつつ変化しながら、表現されるテーマや骨格になっていく。アイデアや表現は、どの段階で固められていくのだろうか。

NHK教育テレビの「一点中継 つくる」(初回放送1988年)を何本か観た。

下絵は草稿の段階で十分に練られている。が、描かれたものが一枚の着物として女性が着た場合を考え立体的な視点から修正されることもある。

「友禅作家 羽田登喜男」の場合。花をデッサンする。鳥をデッサンする。それらが巧妙に図案化される。勝負は下絵の草稿以前にあるようだ。

下絵をきっちりなぞらない。下絵はウォーミングアップ。下絵を描いている時に別の発想がどんどん出てくる。それを上に、ダブらせて描いて行く。

「画家 絹谷幸二」の場合。出たとこ勝負。それもフレスコの素地が乾いていく切羽詰まった状況下に繰り広げられる。

アイデアをメモしない。

「グラフィック・デザイナー 福田繁雄」の場合。最初の印象が自分の中で既成事実のようになることを嫌う。頭の中で、心の中で、何かが醸成されていくのを待つ。

アイデア「日めくり万葉集」メモ(いずれもサイト内)。おとなのEテレタイムマシン「一点中継 つくる」(リストア版)、「美術家 篠田桃紅」(7/20 22:21)、「グラフィック・デザイナー 福田繁雄」(7/20 22:00)、「友禅作家 羽田登喜男」(7/27 22:00)、「画家 絹谷幸二」(7/27 22:21)、梅津正樹アナウンサー

空海の風景

新しい思想を伝えるためには、新しい表現が必要だ

真の天才はそう考える。そして実行に移す。NHKスペシャル「空海の風景」から。

今夏、NHKでは、生誕1250年を迎えた空海に関する番組が特集されている。2002年放送の「空海の風景」もその一つで、前編「大唐渡海の夢」と後編「弘法大師への道」を続けて観ることができた。原作・司馬遼太郎、朗読・中村吉右衛門、語り・若村麻由美。

司馬遼太郎(サイト内)。空海ナイト第二夜 、NHKスペシャル選「空海の風景」、前編「大唐渡海の夢」(初回放送2002/1/4)、後編「弘法大師への道」(同2002/1/5)NHK総合、7/20 1:45-3:23

握手のマナー

  • 2024/07/29 05:46
  • カテゴリー:読み物

握手のマナーで大事なことは、相手の力を確かめながら、同じ力で握ることが望ましい。いきなり強く握って驚かせるのはヤボだし、反対に相手よりも握り返す力が弱いと、不本意なのに仕方なく手を握っているように思われてしまう。

妹尾河童著「河童の手のうち幕の内 」(新潮社、1992年)から(p259)。

武器は持っていません、敵意はありません、と手を差し出す。

よろしくない握手は四つと習った。強すぎる、弱すぎる、これらは上の引用にもある。あとの二つは、近すぎる、そして、濡れている。

欧州で何度か近すぎる握手を経験したことがある。握手したまま、ぐっと体を寄せて来る。顔も接近する、つばきも来る。逃げるわけには行かない。

濡れた握手、中国の取引先でのことを覚えている。先方の担当者が社長に会う機会をつくってくれた。社長室のある階を訪ねると社長はちょうど用を足していたようで、そのドアから出て来るところだった。廊下での挨拶となった。社長さんの手は濡れていた。

愛読書十選 (1)(サイト内)

敦賀原発2号機は不適合

日本原子力発電(原電)の敦賀原発2号機の再稼働は許可されない見通しとなった。原子力規制委は、26日、原子炉真下に活断層が走る可能性を否定できないと結論付けた。

在京六紙の社説がどう書いているか見ておこう。きのう六紙社説は一斉に本件を採り上げた。

「原電は廃炉を決断せよ」(朝7/27)、「廃炉の道を選ぶべきだ」(毎7/27)、「廃炉にするしかない」(東7/27)、「不適合と判断された原発を長期間放置しておくのは安全上問題」(経7/27)。

残る2紙は、再稼働を認めないとする規制委の判断にすんなり納得したくないようだ。「規制委と原電は対話を続け、双方とも納得できる科学的な結論を得ることが求められる」(読7/27)、「議論の組み立て方が非科学的で強引に過ぎる」「規制委は審査の継続に道開け」(産7/27)。

規制委による9年にも及ぶ審査に対して、新聞は、「科学的」とか「非科学的」とか議論できるほどに権威を持っているものなのだろうか。

さて、7/22週の六紙社説は、そのほかに、中国の3中全会、都知事選のポスター掲示問題、バイデン米大統領撤退、ウィンドウズ大規模障害、コロナ再び拡大、東海道新幹線不通、島サミット閉幕、高まる熱中症リスク、小林製薬の紅麹報告書、パリ五輪開幕へ、最低賃金引き上げ、フランスTGVに放火、佐渡金山世界遺産に、ガザ情勢などを話題にした。

六紙社説(サイト内)

街角のマンガ喫茶で

日本は、たぶん、一番いま大きい、というか、強い影響力のある国かと思う

フランスの出版関係者がそんなことを言っていた。いま世界の多くの国で日本のマンガが読まれている、その影響力は計り知れないと。

引用は、NHKの「ドキュメント72時間SP フランス・パリ 街角のマンガ喫茶で」から。

日本のマンガ文化、世界へのその影響力について、我々日本人は、日本の社会は、認識しているだろうか。試しに、在京六紙の社説がどの程度採り上げているか見てみた。年始まで遡って、漫画もしくはマンガの文字がタイトルに登場する社説を数えてみると、その数わずか2本だった。わが国の論壇はマンガ文化について十分に議論している、と言い切れるほどの数字ではなさそうだ。

その社説のタイトルは、「日本の漫画文化 価値ある原画を保存したい」(読1/6)と、「漫画ビジネスの健全な成長を」(経2/28)。

マンガ漫画(いずれもサイト内)。ドキュメント72時間SP「フランス・パリ 街角のマンガ喫茶で」(NHK総合、7/24 19:57-20:43)

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