古代文明と気候大変動
- 2019/11/21 06:18
- カテゴリー:読み物
粘土板に残された農耕民の暦から察するに、彼らは大災害をもたらす洪水や、川の水が低い年の兆候も見抜いていた。
紀元前5800年ごろのメソポタミア南部、農耕を営む人々が定住し始める。それから1千年のあいだに、共同体が成立する中で、古代メソポタミアの宗教が芽生えた。ブライアン・フェイガン著「古代文明と気候大変動-人類の運命を変えた二万年史」(河出文庫、08年)から(p208)。
「聖書」にはメソポタミア的なものが少なからず取り入れられていると聞いたことがある。例えば、天国の概念であり、捨て子の物語であり、そして、洪水伝説だ。人々の運命を左右する降雨や河川の水位は、古代の宗教において神々の所業と讃えられ、そして恐れられたのであろう。それが伝説となり、ユダヤ教など後の宗教が成立するまで長く語り継がれたということだろうか。