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2021年05月の記事は以下のとおりです。

剱岳 線の記

  • 2021/05/31 06:39
  • カテゴリー:読み物

南米チリの島で何度尋ねても「知らぬ、存ぜぬ」を決め込んでいた現地人が、テレビ番組のクルーがカメラを向けた瞬間、「それ、知ってる!」と態度を一変させたのだ。

探検の現場にテレビカメラが入ることは悪いことばかりではない。髙橋大輔著「剱岳 線の記-平安時代の初登頂ミステリーに挑む」(朝日新聞出版、2020年)から(p189)。

仮説を5W1Hで書いて謎解きを進める、著者のこのアプローチは他への展開ができる。もう一つ教えられたことがある。徹底的な文献探査の重要性だ。探検家なので当然フィールド調査を行う。それは確かな文献情報を踏まえてこそ意味のある調査となり得る。

大伴家持の万葉歌が引用されている(p82)。「立山の雪し来らしも延槻の川の渡瀬鐙浸かすも」(17巻4024)。たち=太刀=剱、延槻(はひつき)の川=早月川。「早月川周辺から見ると(略)立山連峰のセンターに立つのは剱岳である」。

# 独鈷杵(とっこしょ)、磐座(いわくら)。髙橋大輔(サイト内検索)

「五輪 中止の決断を」

人々が活動を制限され困難を強いられるなか、それでも五輪を開く意義はどこにあるのか。社説は、政府、都、組織委に説明するよう重ねて訴えたが、腑に落ちる答えはなかった。

我慢にも限界があると言わんばかりだ。朝日新聞の社説「夏の東京五輪 中止の決断を首相に求める」(5/26)から。今年1月まで遡って、同紙社説の内オリパラ関連を拾ってみた。

  • 五輪の行方 現実踏まえた対応急げ(1/27)
  • 女性差別発言 森会長の辞任を求める(2/5)
  • 五輪組織委 混迷打開に刷新を急げ(2/11)
  • 森会長辞任 目を覆うばかりの混迷(2/13)
  • 橋本新会長 課題山積、厳しい船出(2/19)
  • 五輪の混迷 大会の理念思い起こせ(3/20)
  • 五輪組織委 市民に顔向けて仕事を(4/7)
  • 五輪とコロナ これで開催できるのか(4/23)
  • 五輪とコロナ 冷静な目で現実見る時(4/30)
  • 五輪の可否 開催ありき 破綻あらわ(5/12)
  • 夏の東京五輪 中止の決断を首相に求める(5/26)

1月、2月は、「急げ」「急げ」とエールを送り、さらに「課題山積」と叱咤激励する。この頃までは明確に開催賛成の立場だったろう。ところが、3月から雰囲気が替わる。タイトルを見る限り、「重ねて訴えた」と言うのはこの辺りからのようだ。

朝日新聞は、大会のオフィシャルパートナーだ。社説で大会中止を唱えても尚、そのスポンサーシップを続けるのだろうか。同紙では、紙面と事業は別物と嘯くのだろうか。

5/24週の六紙社説では、この朝日の一本が特に目を引いた。この週、ほかには、ベラルーシ強制着陸で記者拘束や、米韓首脳会談、ワクチン大規模接種、緊急事態宣言の再延長、改正少年法、性暴力から子供守る新法、などの話題があった。

五輪とコロナ(サイト内)。スポンサー一覧|Tokyo 2020

禁忌

  • 2021/05/29 06:51
  • カテゴリー:読み物

説明には、つねに別のバージョンがあるものだよ

ビーグラー弁護士が、ランダウ検察官にそう言う。フェルディナント・フォン・シーラッハ著「禁忌」酒寄進一訳(東京創元社、2015年)から(p207)。

本作の評価は賛否両論に分かれたと訳者あとがきにある。Die Zeit で「二度読んでも理解できなかった」と評されたとか。確かに、読み終えてすぐには何のことか判らなかった。ちらちらと読み返して以下のような理解に至った。

これは、主人公エッシュブルクと彼の異母妹、二人による狂言犯罪だ。法廷で新たなインスタレーションを発表することを目的としている。如何に芸術表現とは言え、神聖であるべき場を虚仮にするのはいかがなものか。書名のタブー(禁忌)はそこから来ている。

主人公は、このインスタレーションで「自画像」(p219)を描こうとした。ティツィアーノが筆ではなく、直接、指で自画像を描いたように、写真家の主人公が写真ではなく自身が出演するインスタレーションでの表現を試みた。一回限り、ぶっつけ本番の自作自演には、数か月に及ぶ勾留付き。

隣人セーニャ・フィンクスは、主人公だけに見えていた。本人には真実だったけれど、現実には存在しない架空の産物(スフィンクス、p210)だ。それを典型として、主人公が半生を供述する前半部分は、「真実と現実」(p153)が綯い交ぜになっている。その整理役としてビーグラー弁護士が起用された。

刑事による拷問の件は、インスタレーション作品には計画されていなかった部分。ビーグラー弁護士が法廷で「うまく利用」(p219)し、作品に花を添えることになった。

シーラッハ(サイト内検索)。公判での刑事への証人尋問(p188-203)

WiFi ルータ復調

今月に入って、WiFi ルータが、度々、勝手にリスタートしてインターネットへの接続が途切れる問題が生じていた。ぶら下がっている機器の内一つのパソコンがオンになっている時に起きる現象だった。特に設定を変えていないので、Win10 の自動更新が影響していると思うのだけれど、どこがどう悪いのか皆目見当がつかなかった。web上をあちこち色々と見て、一か所いじってみることにした。NetBIOS の設定。TCP/IP 詳細設定の WINS タグのところにある。その設定を「規定値」から、「NetBIOS over TCP/IP を有効にする」へ切り替えた。その結果、今のところ復調している。ただ、この数日の間にも、Win10 の更新があったようで、そっちが効いたのかもしれないが。

100ギガWiFi、G-Call(サイト内)

ゼロからつくる科学文明

  • 2021/05/27 06:13
  • カテゴリー:読み物

応急処置は、医療スタッフが駆けつけるまでのあいだ、怪我人などの状態を効果的に安定化するために考案されました-あなたが今ある特殊な状況では、医療スタッフが来るまでに数百万年かかるかもしれませんが。

あちこちで、くすっと笑わせてくれる。ここでは大笑い。ライアン・ノース著「ゼロからつくる科学文明-タイムトラベラーのためのサバイバルガイド」(早川書房、2020年)、第15章「基本的な応急(あなたの場合、唯一の)処置」から(p427)。図書館で予約して3か月ほど待って順番が巡って来た。

タイムマシンを駆って過去に遡るのだが装置が故障してしまい、もう元には戻れない。さあどうする。「ご安心ください」「必要なものは、このガイドに全て載っています」。目次に続いて、「あなたがどの時代に閉じ込められたかを判別する方法」から始まる。

2020年今年の一冊|HONZ。トーマス・トウェイツ「ゼロからトースターを作ってみた結果」、ルイス・ダートネル「この世界が消えたあとの科学文明のつくりかた」

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