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キーワード「ピエール・ルメートル」の検索結果は以下のとおりです。

監禁面接

  • 2022/06/23 06:30
  • カテゴリー:読み物

あなた自身の人生をわたしに語るとしたら、なにから始めますか

そう尋ねられて、主人公は打開策を思い付く。ピエール・ルメートル著「監禁面接」橘明美訳(文藝春秋、2018年)から(p296)。

似たような質問を受けたことがある。「あなたの人となりを語って聞かせて下さい」というものだった。これまでに、就職や転職の活動で、何度か面接を受けた。様々なやり取りがあった中で、最も印象に残っている質問だ。それにどう答えたかは覚えていない。ただ、面接の首尾は上々だったのだろう、その会社から採用通知をもらった。

本書の主人公は、失業して4年、職安にも通い鋭意求職中の身。ただし冒頭の質問は、人事採用の担当者からではなく、拘置所で精神鑑定を担当する精神科医からだった。採用試験でとんでもない事件を起こし拘留されているのだ。

仏語原書のタイトルは"Cadres noirs"、Googleで英訳すると"Black frames"と出る。英訳版の方は"Inhuman Resources"と題されている。日本語訳版は「監禁面接」だ、もうちょっと良いタイトルがあったのでなかろうか。

ピエール・ルメートル(サイト内)。イケア(p453)

われらが痛みの鏡

  • 2022/06/09 06:22
  • カテゴリー:読み物

たしかにいちばんつらいのは、ただ待っていること、何を待っているのかもわからないことだった。

迫り来るドイツ軍を前に、前線の指揮系統は機能していない。引用は、ピエール・ルメートル著「われらが痛みの鏡」(ハヤカワ・ミステリ文庫、2021年)から(上巻p175)。平岡敦訳。

待つことの辛さは、再度、出て来る。「誰もが死ぬほどつらかったのは、ただ待っていることだった」(下巻p13)。ここにも指令が届かない。

ユニークな人物が登場する、稀代の詐欺師デジレ・ミゴー。前半は、情報省の係官としてメディア対応で弁を揮い、後半は、礼拝堂の司祭に成り済まして難民を救済する。小学校の教師や、パイロット、外科医、そして弁護士の前歴もある(上巻p87)。正体がばれそうになる、その前兆を察知するのに長けている。

三部作はこれで完結。本書のカバーそで(後ろ)にある作者紹介で「シリーズ最高傑作との呼び声も高い」と謳われる。どうだろうか。「天国でまた会おう」「炎の色」、そして本作と、段々萎んで行くように感じたのだが。

ピエール・ルメートル(サイト内)。村上春樹著「国境の南、太陽の西」、フランク・アバグネイル|Wikipedia

炎の色

  • 2022/05/18 06:27
  • カテゴリー:読み物

劣勢に立たされたからこそ、逆に気持ちが落ち着いた。これでもう、退路は断たれたのだから。こちらがきっぱりとした態度で臨めば、うまく切り抜けるチャンスもそれだけ増すはずだ。

でたらめな技術を売り付けようと企むが一筋縄ではゆかない。なにせ相手はヘルマン・ゲーリング率いるドイツ航空省だ。引用は、ピエール・ルメートル著「炎の色」(ハヤカワ・ミステリ文庫、2018年)から(下巻p147)。

「天国でまた会おう」三部作の第二巻(上下)。時代は、1927年からナチスが政権を掌握する1933年にかけて。これと並行して読み進めている松本健一の「明治・大正・昭和」三部作(と勝手に呼んでいる)の方も、次は1920年代後半の昭和に入る。

ピエール・ルメートル松本健一(サイト内)。グランゼコール|Wikipedia、フランス大統領選が教えてくれた「選択肢はネオリベかポピュリズム」

天国でまた会おう

  • 2022/03/15 06:26
  • カテゴリー:読み物

環がひとつ欠けただけで、鎖は用をなさなくなる。

名士と見做されるには様々な条件を整えねばならないという話。しかし、この男、不正で金儲けしようと企てる。それが露見し没落。性根が腐っていたら外面をいくら取り繕っても何にもならない。引用は、ピエール・ルメートル著「天国でまた会おう」平岡敦訳(ハヤカワ・ミステリ文庫、2015年)から(上p170)。災厄の子供たち三部作の第一。次作も借りて来よう。

この「天国でまた会おう」上下巻を読んでいるちょうどその頃に、鎖と環の喩え話を二つほどwebで読んだ。両方ともサプライチェーン(バリューチェーン)に関する話題。

一つは、トヨタへのサイバー攻撃。本丸は対策十分でも、系列会社の「最も弱い輪」が攻められ、鎖が断たれてしまった。結果、部品調達ができず全工場の稼働を停止。記事はトーマス・リードの格言「鎖の丈夫さは、最も弱い輪によって決まる」を引いている。

もう一つは、イケアの持続可能な戦略優位。デザインや、製造、物流、販売、各々を最適化し自社で管理。すべての強みが「優れた鎖構造」を形成し、集客力の維持に繋がっている。

ピエール・ルメートルサイバー対策(いずれもサイト内)。トヨタの「弱い輪」が餌食に サイバー空間依然緊迫(3/4)、弱みが決める組織の成果 秀吉とイケアの「鎖構造」戦略(3/7)

傷だらけのカミーユ

  • 2022/02/26 06:27
  • カテゴリー:読み物

いずれにしても選択肢はないと思った。もっとも“選択肢はない”と考えることもまた選択の一つではある。

万策尽きたらこれを思い出そう。少しは慰めになるかも。ピエール・ルメートル著「傷だらけのカミーユ」橘明美訳(文春文庫、2016年)から(p325)。カミーユ・ヴェルーヴェン警部が登場する第三長編。シリーズはこれで終わり。

仏語原題は、Sacrifices(犠牲)。なお、アンヌとの出逢いについては、前作で簡単に触れられていた(「その女アレックス」p52)。彼女は「わが母なるロージー」にも何度か登場する。

ピエール・ルメートル(サイト内)。「もっともらしいものこそ疑うべき」(p296)

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