昭和史百冊
- 2024/02/01 06:08
- カテゴリー:読み物
マイクからの「洗脳」はいまだに残り、形を変えては今も続いているのではないか、と慄然とさせられる。
ラジオや、テレビ、紙誌、様々あれど、鵜呑みにするのは危険だ。どれほど媒体価値が高くても。引用は、平山周吉著「昭和史百冊」(草思社、2023年)から(p34)。
紹介されている本2冊、図書館に予約を入れた。沢木耕太郎「天路の旅人」(p180)、野呂邦暢「失われた兵士たち-戦争文学試論」(p301)。
# 落城記(サイト内)
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マイクからの「洗脳」はいまだに残り、形を変えては今も続いているのではないか、と慄然とさせられる。
ラジオや、テレビ、紙誌、様々あれど、鵜呑みにするのは危険だ。どれほど媒体価値が高くても。引用は、平山周吉著「昭和史百冊」(草思社、2023年)から(p34)。
紹介されている本2冊、図書館に予約を入れた。沢木耕太郎「天路の旅人」(p180)、野呂邦暢「失われた兵士たち-戦争文学試論」(p301)。
# 落城記(サイト内)
夢を目指す人間は、閉ざされたときの覚悟はできている
大崎善生著「将棋の子」(講談社、2001年)から(p178)。
自分のことを「こっち」と言う成田英二はじめ、夢を閉ざされ棋士になれなかった男たちの物語が綴られている。舞台は、棋士養成コースである奨励会。プロを目指す天才たちが全国から集まって来る。街の将棋教室で大人たちにも負けなかった少年たちは、ひと度この天才集団に入るや自分が平凡な存在であることを思い知らされる。
成田は、高校生の時に奨励会に入る。5年後、まだプロになれず悶々としている頃に、羽生善治が入会して来る。この10歳年下の「子供」に勝てない。奨励会での成田の対羽生戦は「0勝4敗」だった。その後の二人の歩みは惨たらしいほどに対比を見せる。羽生が弱冠15歳で奨励会を突破しプロ入りを果たす一方、前後して、成田は奨励会を退会。片や七冠すべてのタイトルを制覇し1億円プレーヤとなる。片や夢破れて故郷に帰り「落ちるところまで落ちる」。
成田は、ビル解体清掃業やパチンコ店などの職を転々とし、本書の著者が訪ねて行った時には、古新聞回収業者に雇われていた。全寮制で月々の手取り1万から2万円の「ほとんど無収入に近い状態」。サラ金に借金もある。恋人に会いにも行けない。それでも奨励会を退会した時に記念でもらった駒は肌身離さない。将棋を「自分の支え」に生きている。
切ない物語もエピローグを読むと救われる。後日譚が少し語られるのだ。「その駒を眺め消えかけていく勇気を辛うじて振りしぼった」彼に拍手を送りたい気分になった。
※敬称略
# 文庫100冊、聖の青春(いずれもサイト内)。羽生善治|Wikipedia、羽生善治九段、A級から初の降級 連続29期で途絶える 順位戦(毎日新聞、2/4)。沢木耕太郎著「敗れざる者たち」。「末路哀れは覚悟の前やで」四代目桂米團治。敗者の背中に学ぶ 挑戦の価値大切にしたい(産経新聞、2/11)
その3は「作家十選」。没年の昇順。
# 愛読書十選(サイト内)。山下洋輔、逢坂剛、中島義道、原尞、沢木耕太郎、北村薫、ケン・フォレット、高村薫、東野圭吾、三品和弘。敬称略
そう。自分の飲みたいものと自分の食べたいものを素直に伝えればいいんだよ
主人公広岡が佳菜子に言う。沢木耕太郎著「春に散る」(朝日新聞出版、2017年)、第五章「クロッシング〈交差点〉」(上巻、p216)から。
本物と偽物の区別がつく人になること。人生において大事なことはそれだけですからね。人でも物でも、本物に接し、触れていること
雅世さんが佳菜子に望んだこと。こちらは下巻の第十七章「来訪者」(p260)から。
# 沢木耕太郎(サイト内検索)、「春に散る」(前後編)▽FMシアター(NHK-FM、3/20,27)【原作】沢木耕太郎【脚色】原田裕文【演出】小見山佳典【音楽】谷川賢作【出演】篠田三郎,真野響子ほか
スーパーマーケットに寄って昼食の食材を買う。あれやこれやを買って、レジの前の列に並ぶと、いつもと支払い方法が変わっている。
自分で支払機にお金を突っ込む。コロナで世の中が色々と変わった、これもその一つ。先日訪ねた病院もそうなっていた。引用は、沢木耕太郎著「天涯通信2020 第一信」(12/18)から。恒例のラジオ番組に先駆けて書き下ろされたエッセイ。
その病院には週を跨いで二回通い、胃と大腸の内視鏡検査を受けた。ほぼ一年ぶりに訪ねたそこでは、支払機の外にも色々と変化が感じられた。主任の看護師が替わったようだし、検査室の前室や回復室の様子が違う。それに、ぎこちなさとスマートさが綯い交ぜになったスタッフたちの動きや接し方が気になった。それもこれもコロナの影響だろうか。それとも病院の経営方針に変更があったのだろうか。
検査は、手際よく進められた。前回ポリープが見付かった辺りを中心に丹念に診てもらった結果、今回は異変なし。胃の方も炎症が治まっていた。心身とも健全。感染症の騒ぎが続く年の瀬にそう実感できるのは幸いなことだ。
# 大腸内視鏡検査(サイト内)。沢木耕太郎~ミッドナイト・エクスプレス天涯へ2020