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キーワード「松本清張」の検索結果は以下のとおりです。

帝銀事件の謎

  • 2023/04/25 06:15
  • カテゴリー:読み物

裁判記録には、単純に、悉く「青酸カリ」となっているのだ。だが、「青酸カリ」と決定する何等の根拠も証明も帝銀事件に関しては全くない

殺人に用いられた毒物さえ特定されず、その他の物的証拠にも曖昧さが残るまま裁判が進められ、一人の画家に有罪判決が下される。それは、でっち上げだった。

引用は、松本清張全集30「日本の黒い霧」第8話「帝銀事件の謎」(1972年、文藝春秋)から(p265)。初出は「文藝春秋」1960年8月号。「画家と毒薬と硝煙」を改題。

凶器の毒は確かに青酸ではあったが、青酸カリのように即効ではなかった。遅効性の青酸化合物はいったい何だったのか。このノンフィクションでは、アセトンシアンヒドリンと推測されている(p267)。「登戸にあった第九技術研究所の田中中尉によって発明されたといわれている」。

ところで、引用文中にある「悉く」の文字が恥ずかしながら読めなかった。漢和辞典は手元にない。スマホのアプリEBPocketに入れたスーパー大辞林がその代わりになる。モードを複合検索に切り替えて、部首(心)と画数(11画)を掛け合わせる。「悪患悉悠」の4文字がヒット。【悉】を開くと、[音訓]シツ、ことごとく、つくす、とあった。

JFK暗殺警察庁長官狙撃事件EBPocket(いずれもサイト内)。NHKスペシャル「未解決事件 File.09 松本清張と帝銀事件」(NHK総合、2022/12/29・30、21時)、アセトンシアノヒドリン|Wikipedia、松本清張全集17「小説帝銀事件」、日本の漢字辞典

けものみち

  • 2022/05/04 06:01
  • カテゴリー:読み物

ものになりそうなものと、そうでもないものとは、なんとなくカンでわかる。あたかも水面に垂れた糸の先に十分な手ごたえが来そうな、あの釣り人の心理にも似て

松本清張全集15「けものみち」(文藝春秋、1972年)から(p263)。初出1962年。

TVドラマ(NHK、1982年)の再放送を少し目にしたのがきっかけで原作を読んでみようと思った。そのドラマには「おしん」の姑に扮した高森和子さんがちらっと出ていた。「おしん」は1983年なのでこのドラマの翌年だ。

松本清張(サイト内)。土曜ドラマ「松本清張シリーズ けものみち」(1)~(3)、デジタルリマスター版(NHK総合、4/9 0:25-3:55)、初回放送1982年1月、【脚本】ジェームス三木【出演】名取裕子、山崎努、伊東四朗、加賀まりこ、西村晃、永井智雄ほか

中野のお父さん3

  • 2022/03/29 06:29
  • カテゴリー:読み物

豊かさには、そういう、人を甘やかす罠がある。噛んで固いものを、味わえなくなったりする。

一度カラー画面を知ってしまうと白黒では楽しめなくなる。北村薫著「中野のお父さんの快刀乱麻」(文藝春秋、2021年)に収載の「小津安二郎の義理人情」から(p129)。シリーズ第3作。

娘の田川美希が提示する謎を、「お父さん」探偵が鮮やかに解く。探偵のfirst nameは記されていない。著者のもう一つの日常の謎シリーズ〈円紫さんと私〉でも二人の内一人の名が明かされない。ただし、こちらは謎を持ち込む側の「私」。

太宰治と松本清張(p15)、正岡容(p87)、和田誠「お楽しみはこれからだ」(p191)、将棋(p209)、「波乱万丈」1978年の古今亭志ん朝「三軒長屋」(p302)

北村薫(サイト内)。落語協会分裂騒動|Wikipedia

陸行水行

  • 2022/02/02 06:31
  • カテゴリー:読み物

森を隔てた所には神宮皇学館が遺っている。神宮皇学館といえば、伊勢神宮と、ここしかなかった(昭和二十一年廃止)。

こことは大分県宇佐の妻垣神社。松本清張全集7「別冊黒い画集・ミステリーの系譜」(文藝春秋、1972年)に収載の「陸行水行」から(p203)。初出1963年。最近、日経の文学周遊に採り上げられた。

妻垣神社のサイトには、「神職養成科は伊勢の神宮皇學館と東京の國學院とここ妻垣の騰宮学館の3校しかなく」とある。神宮皇學館の卒業生が、私財を投じて開校。神武天皇が饗応を受けたとされる「足一騰宮」(古事記)に因んで、騰宮学館と名付けられた。

# ジョセフィン・テイ「時の娘」(p209)。境内散策|妻垣神社。清張ミステリーで探求する邪馬台国の謎「陸行水行」|文学周遊、松本清張「陸行水行」大分県安心院|写真で見る文学周遊。足立巻一(サイト内)

2.26事件 (5)

  • 2021/07/07 06:36
  • カテゴリー:読み物

かれらの最大の挫折の原因は天皇の激怒にある。

松本清張著「昭和史発掘9」2.26事件Ⅴ(文春文庫、2005年、新装版)から(p369)

青年将校らの蹶起はなぜ失敗したのか。上部工作の不手際、宮城占拠の挫折、すべてを束ねるリーダーの不在、そして天皇の激怒。さらには国民の不支持もある。「海外への暴力(日清、日露、シベリア出兵、満州事変など)には馴らされていた国民も、国内の流血手段には神経質であった」(p373)

内心では助命を期待した赤穂浪士との類似性(p205)。神聖な本拠を農村出の兵隊に泥靴で占拠されたエリート幕僚部の屈辱感と憎悪(p226)。九割九分までの黒に一分の白をもって全体を白といいくるめる真崎公判(p307)。破滅戦争に向かう足音(p323)。解説加藤陽子(p385)

2.26事件加藤陽子(サイト内)

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