お知らせ

メール送信フォームを設けました。ブログ記事への問い合わせなどにご利用下さい。

 

エントリー

2020年07月27日の記事は以下のとおりです。

近代日本一五〇年

  • 2020/07/27 06:17
  • カテゴリー:読み物

かつて東アジアの諸国を侵略し、二度の原爆被害を受け、そして福島の事故を起こした国の責任として、軍需産業からの撤退と原子力使用からの脱却を宣言し、将来的な核武装の可能性をはっきりと否定し、経済成長・国際競争にかわる低成長下での民衆の国際連帯を追究し、そのことで世界に貢献する道を選ぶべきなのだ。

山本義隆著「近代日本一五〇年」(岩波新書、18年)のあとがきから(p292)。技術開発は軍事力と結び付いているという視座で開国後の150年を眺めている。日本政府は常に軍事力の強化を考えて来た。現在、核武装でさえその射程に入っている、その事実に背筋が寒くなる。副題は、科学技術総力戦体制の破綻。

原型炉「もんじゅ」の廃炉が決定され(16年)、東海村の再処理施設が火災爆発事故を起こし(97年)、六ヶ所村再処理工場の稼働が見通せない。いかに不都合な事情が重なっても、日本政府は、増殖炉建設と再処理による核燃料サイクルの計画(表向きの口実)を放棄しない。核武装(裏の理由)に直結するプルトニウムを備蓄するためだ。原料を公然と確保する一方で、原子力開発を「我が国の安全保障に資することを目的」にもできると原子力基本法に書き加え(12年)、核兵器の保有は合憲であるとその政府答弁を安倍内閣は閣議決定した(16年)。国連の核兵器禁止条約への署名も頑なに拒んでいる。「現行憲法下でも、自衛のための核兵器保有は許される」と表明(57年)した岸信介元首相の意思は、「一部の政治家と外務官僚」によって脈々と受け継がれている。(p265-282)

鉄鋼や、化学、電機など20世紀型の基幹産業は国際競争力を失い、半導体や自動車も保ちそうにない。ITや情報産業は大幅に遅れている。この「状況下で、現在、政府と財界が画策しているのが、原発輸出とならんで「経済の軍事化」、すなわち軍需生産の拡大と武器輸出である」(p248)。安倍内閣は、防衛装備移転三原則を閣議決定し(14年)、武器輸出を事実上全面解禁した。

六ケ所の再処理工場、事実上合格 稼働は見通せず

ページ移動

  • 前のページ
  • 次のページ
  • ページ
  • 1

ユーティリティ

« 2020年07月 »

- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -

検索

エントリー検索フォーム
キーワード

新着エントリー

Re: 二重小協奏曲ヘ長調
2024/04/29 06:00
社会不安高めるSNS悪用
2024/04/28 05:57
走り梅雨、2024年
2024/04/27 06:05
協奏交響曲K364、東フィル
2024/04/26 05:44
さよならマエストロ
2024/04/25 05:50
WANDERERS
2024/04/24 06:08
定家の原本発見
2024/04/23 05:56
ダイソーの500円イヤホン
2024/04/22 06:02
減少が続く書店
2024/04/21 06:05
ソウシジュの箸
2024/04/20 05:58

Feed