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2018年05月の記事は以下のとおりです。

クルーグマンの国際経済学

  • 2018/05/28 08:43
  • カテゴリー:読み物

加工貿易に関連して、その4

リカード・モデルでは、各国は労働生産性が相対的に高い財を輸出し、労働生産性が相対的に低い財を輸入する。つまり、各国の生産パターンは比較優位によって決まる。

P.R.クルーグマンら著「クルーグマンの国際経済学~理論と政策 原書第8版」上巻貿易編(ピアソン桐原、10年)から(p66)。原題、International Economics - Theory & Policy, 8th Edition, 2009

リカードの著作「経済学と課税の原理」の初版は1817年。そこで提示されたモデルは、今となっては複雑化した貿易を説明するには万能ではない。その比較優位説が、現在でも有効なことを示す顕著な例をクルーグマンは記している。1995年のデータに基づくドイツと中国の比較(表3-4)。中国の労働生産性は、製造業全体ではドイツの5%ほどに過ぎないが、アパレル産業に限ると20%ほどでそれほど悪くない。このアパレル産業の生産高が、中国はドイツの、なんと、8倍だったのだ。1/8 ではない。

「彼の比較優位は打席にあったのだ」と、100年前の二刀流、ベーブ・ルースのケースをコラムで紹介している(p45)。現代の二刀流、大谷選手も、そのうち、比較優位があるどちらかに一本化するのかもしれない。

漱石が見た芸術と科学の美

夏目漱石(1867-1916)の没後100年、生誕150年で様々な催しや番組があった。NHK カルチャーラジオ「科学と人間」では、「漱石、近代科学と出会う」という13回シリーズが放送された(2016年10-12月)。話者は、早稲田大学の小山慶太教授。一式、iPod に入れて海外出張の折などに何度か聴いた。

その第11回「漱石が見た芸術と科学の美」(12/16)でこんな風なことが語られる、「夢十夜」、とりわけ運慶が登場する第六夜、を採り上げて。

漱石は、夢十夜という小品において、芸術作品の創造を、天賦の才に恵まれた人間が、自然の中に既に隠れ潜んでいる美を取り出す行為として表現した。自然の中に既に隠れ潜んでいる美を取り出すっていうのは、科学がまさにそう。

芸術と科学、いずれも美の追求をする、その営みの共通性をあぶり出している、と紹介している。第六夜は、かつて教科書で読んで以来、何度か読んではみるものの、正直、釈然とすることはなかった。なるほど、こんな風にも考えられるのだな。

代書屋

先日読んだ井上荒野著「煮こごり」は、彼氏がトラに噛み殺されることから話が始まる。トラと言えば、中島敦の「山月記」、そして落語の「代書屋」。その落語の音源を引っ張り出して聴いてみた。

晩、山の中歩いてて虎にくわれて死んだです。きれいに片付けた。

渡航証明書の代書を頼みに来た朝鮮人がそう言う。この部分を含め、話の後半は、桂米朝の音源でしか聞いたことがない。他の噺家(の口演)は、おれが聴いたことがあるものに限っては、前半で終わってしまう。米朝は、冒頭で「師匠の33回忌」と言う。1983(昭和58)年、四代目桂米團治三十三回忌追善公演での録音のようだ。YouTube にもある。

手元にある音源、各々の時間を計ってみた。一人目の客がこんにちはと来店するところからおしまいまで。まず、その米朝の83年口演は、28分で後半も含む原形。以下は、いずれも前半のみ。長い順。桂雀々22分、師匠ゆずりの例の「ポンでーす」でだいぶ引っ張る。その師匠、枝雀は21分、これはポンが登場しないバージョン。桂春団治14分、十八番、オーソドックス版。金原亭馬治11分、桂小南8分、柳家権太楼8分、東京落語の面々は短め。

https://ja.wikipedia.org/wiki/代書
http://kamigata.fan.coocan.jp/kamigata/rakug343.htm
桂米朝「代書」※完演版

震度3 沖縄県本島中南部

昨夜、酒を飲んでいるときに揺れた。すぐにラジオを点けたが何も言わない。気象庁のサイトで確認した。

平成30年5月25日19時06分ころ、地震がありました。震源地は、沖縄本島近海(北緯26.5度、東経127.2度)で、震源の深さは約60km、地震の規模(マグニチュード)は4.4と推定されます。この地震による津波の心配はありません。

確か、その前の晩にも地震があった。気象庁の記録には、24日20時12分ころ、沖縄本島北西沖、M4.5、最大震度1、とある。

大人国・小人国

  • 2018/05/24 16:46
  • カテゴリー:読み物

だいいち、優越感とか劣等感を棄てなければならないのだ。民族感情としてのコンプレックスは、封建社会から尾を曳くものなのだ。民族主義が徹底すれば、すなはち、平等社会が確立すれば、優越・劣等のコンプレックスは消滅すべきものである(略)。どういうふうにして、コンプレックスを追放すべきであるか。いわば精神分析療法である。それはコンプレックスの根源をさぐりだすことである。文学的にいへば、むしろこれまでの劣等感に徹してみることである。優越をもとめるといふ代償作用を排して、ひとつこのコンプレックスに最後のところまで身を委ねてみることだ。

荒正人著「第二の青春・負け犬」に収載の「大人国・小人国」から(p219)。この本は、冨山房百科文庫の一冊(冨山房、78年)であり、先日読んだ宮田昇著「図書館に通う」で知った。「第二の青春」「負け犬」いずれも二次大戦後に出版された評論集。「大人国~」の文末には、1946年8月5日の日付がある。

荒正人(あらまさひと)の名は、恥ずかしながら知らなかった。wikipedia によると、「世代論、知識人論で加藤周一、中野重治らと論争を交わした。夏目漱石の研究でも一家をなし、」とある。この「第二の~」でも、三十代は、四十代は、と世代に関する記述が散見される。

https://ja.wikipedia.org/wiki/荒正人

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