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人権意識、政権と新聞

「隣に住んでいたら嫌だ」と、LGBTや同性婚カップルを差別する発言をした荒井勝喜首相秘書官が更迭された。在京六紙は揃ってこれを社説で採り上げた。

「更迭は当然」(毎2/5、産2/5、東2/7、経2/7)、「驚きあきれる」(朝2/5)、「度を越している」(読2/7)と、各紙とも差別発言をした首相側近を許しはしない。では、これに対してはどう考えるのか。荒井氏の言葉が引用されている部分(毎2/5)、

「秘書官室もみんな反対する」とも述べた。

差別意識を持っている首相秘書は自分一人じゃない、と荒井氏は白状した。たまたま本音を吐いてしまった者がクビにされて済む話ではない、ほかにも更迭されるべき秘書官がいるのだ。新聞の社説は、差別主義者をあぶり出せ、と容赦なく質すべきではないのか。「政権の人権意識の欠如が厳しく問われねばならない」(朝2/5)、「周囲にこうした考え方を容認する空気があったのでは、との懸念が拭えない」(経2/7)、せいぜいその程度で、六紙社説は揃って鈍感ぶりを発揮している。

ところで、「みんな反対」発言は、毎日のほかに朝日の社説も引用している。が、「述べたという」と伝聞になっている。「述べたとされる」という表現もある。この辺りの事情について「政界地獄耳」(2/9)が教えてくれている。荒井氏の差別発言はオフレコを前提とした懇談の場でなされ、朝日はそれに「参加していなかった」と。

オフレコの禁を破って報道したのは毎日だった。それについて六紙社説では、読売が唯一コメントしかつ批判している。「取材される側が口をつぐんでしまえば、情報の入手は困難になり、かえって国民の知る権利を阻害することになりかねない」(読2/7)と。オフレコの約束を厳守すべきであって、たとえ政権中枢の差別主義者であっても指弾すべきじゃなかった、どうやら、そういう論調のようだ。どこかが禁を破らなければ、各紙、黙り通したのだろう。新聞の人権意識は一体どうなっているんだ。政権中枢からの差別発言に対してとやかく言う資格はあるのか。

さて、2/6週の六紙社説は、そのほかに、中国の偵察気球、日産とルノー、東京五輪談合逮捕、トルコ大地震、バイデン氏一般教書演説、闇バイト強盗指示役逮捕、日比首脳会談、三菱重工旅客機撤退、北朝鮮軍事パレード、日銀次期総裁などを話題にした。

六紙社説(サイト内)。政界地獄耳「オフレコ懇談、参加可否の論議を」(日刊スポーツ、2/9)

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