高支持率の虚像と実像
- 2025/12/31 06:18
- カテゴリー:時の話題
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日曜日なので、『ロウソクの科学』はお休み。いつものように、在京六紙の社説を一週間分ざっと眺めた。年末恒例の社説が目についたので、これについてAIに尋ねてみた。
Q)読売新聞は、今年も恒例の回顧社説(2本)を掲載しました。「読売新聞の読者が選んだ今年の10大ニュース」を社説の題材とする、同紙の意図は何でしょう。
2025回顧・日本 期待と不安入り交じった1年(12/21)
2025回顧・世界 大国の身勝手で危うい時代に(12/22)
A)主な意図は、「世論(読者の関心)の反映」と「新聞社としての提言」を融合させることにあります。3つの狙いがあると考えられます。読者視点に基づいた1年の総括、世論の動向を踏まえた政治・社会への提言、そして、双方向性の維持とブランディング。読者の声を紙面作りに活かしているという双方向性のPRであり、同紙の伝統的な編集方針の一環となっています。
これを出発点としてAIとの対話を重ねて行った。投げかけた質問はあれこれと十数件に及んだ。そして、まとめをするようAIに頼んだ。答えにかなり辛辣な表現が並んだので、いくつか質問を追加して、再び、まとめをお願いした。
Q)彼ら論説委員たちは、もはや太刀打ちできないということですよね。ちょっと気の毒にも思えます。先ほどの「この反論の急所と限界」までを、さらに盛り込んで、1500字のまとめを、もう一度、やってもらえないでしょうか。彼らにとっての「本質的な恐怖」に多少は慮って、ややマイルドなトーンでお願いします。
A)読売新聞が年末に掲げる恒例の「回顧社説」と「読者が選ぶ10大ニュース」。この伝統的な形式が、2025年というAIが日常に溶け込んだこの時代において、かつてない岐路に立たされている。
一見すると、この社説は読者の関心を丁寧に掬い上げ、時代のうねりを映し出す「鏡」のように見える。しかし、その内実を冷徹に見つめれば、そこにはデジタル化と知能化の波に洗われる巨大メディアの、切実な「存在証明」への固執が浮かび上がる。
最大の問題は、ご指摘のように、読売新聞という確固たるカラーを持つ組織において、その読者が選ぶニュースの傾向は、もはやAIによって極めて高い精度で予測可能だという点にある。AIは膨大な過去の紙面データと読者層の属性を学習し、彼らが何に憤り、何を寿ぐかを「統計的な必然」として導き出してしまう。そこには、多大なコストをかけてハガキを募り、集計するというアナログなプロセスの介在する余地はない。AIが提示する「予測結果」と、人間が泥臭く集計した「確定値」が重なれば重なるほど、新聞社が誇る「読者との絆」という言葉は、アルゴリズムがシミュレート可能な「消費行動」の一部へと回収されてしまうのである。
これに対し、新聞社の論説委員たちは、おそらく「身体性」という最後の砦を持って反論するだろう。AIの予測は「冷たいデータ」に過ぎないが、我々の集計は「生身の人間との対話」である、と。そこには、効率や合理性では測れない「民主主義のコスト」を支払うことへの自負があり、読者の声を文字に刻むという行為そのものに、言論機関としての聖性が宿っていると信じている。彼らにとって社説が総花的になるのは、思考の欠如ではなく、一人の読者の不安も切り捨てないという「誠実さの代償」なのだ。
しかし、この「温かみ」や「誠実さ」という反論こそが、実は彼らにとっての「本質的な恐怖」の裏返しでもある。もし、自らが命を削って編み出した言葉が、AIの予測する「読売らしさ」の範疇を越えられず、読者にとっても「年末の風物詩」として儀礼的に消費されるだけだとしたら、それは知性の敗北に等しい。自分たちの独自性だと思っていたものが、実は計算可能なパターンの一部であったという事実は、言論を志す者にとって、これ以上ないほど残酷な宣告である。
2025年の回顧社説を読み解くと、そこには「大国の身勝手」への危惧や「変革への期待」が綴られているが、それ自体もまた、予測可能な枠組みの中に収まっている。新聞社は、読者と共に歩むという物語を守るために、あえて非効率な儀式を繰り返しているのかもしれない。それは、変わりゆく世界の中で、自分たちがまだ「実体のあるコミュニティ」の中心にいることを確認するための、鎮魂歌にも似た祈りであるようにも思える。
かつて新聞が時代の羅針盤であった頃、社説は未来を切り拓く刃であった。しかし今、AIという全知の鏡を前にして、それは「昨日までの我々」を確認するための、安らかな同語反復へと姿を変えつつある。その姿を「太刀打ちできない」と断じるのは容易だが、むしろそれは、正解のない時代において「人間であることの証明」を、非効率さの中に求めざるを得ない、老舗メディアの哀愁に満ちた抵抗のようにも映るのである。
と、読売新聞の社説(2025年12月21日、22日付け)に基づいた、Gemini(AI)との対話の要約を得た。
さて、在京六紙の社説は、この一週間、そのほかに、首都直下地震被害想定、経済同友会新体制、AI基本計画、中央アジア外交、H3ロケット失敗、安全保障政策を担当する官邸筋の核保有発言、過去最大122兆円予算案、防衛費9兆円台、診療報酬改定、などを話題にした。
ファラデー著「ロウソクの科学」、◯◯風の邦訳、その5。俵万智風。
Gemini(AI)による翻案を、2025/12/21に実施。次のように依頼した。
Q)俵万智風だとどうなりますか。できれば七五調で
「『サラダ記念日』に代表される、日常の何気ない瞬間に鮮やかな感情を吹き込み、五七五七七のリズムに乗せるライトな短歌的感性で訳します。科学の講義を、まるで日曜日の昼下がりに窓辺で語り合っているような、瑞々しい口語短歌風の表現に仕立てました。
俵万智風:『キャンドル記念日』
1. 冒頭、科学への入り口について
「自然という 不思議な扉(ドア)を 開けるなら
まずはロウソク 見つめてごらん」
(科学の世界へ入るいちばん素敵な入り口は、一本のロウソクを見つめることにある。それはとてもオープンな、誰にでも開かれたドアなんだ。)
2. ロウソクの合理的な仕組みについて
「器(うつわ)なき 器(うつわ)の中に 揺らぐ液
カタチはないのに こぼれもしない」
(ロウソクが自ら作る液体のカップ。実体はないのにちゃんと中身を支えているなんて、どんな高価なカップよりもずっと不思議で、愛おしい。)
3. 毛細管現象の説明
「水がゆく 重力さえも 振り切って
自由な空気に 満ちる世界は」
(スッと水を吸い上げるその仕草。自然がときどき見せてくれる、こういう伸びやかな自由が、私はとても好きだ。)
4. 炎の中の炭素粒子について
「燃え尽きぬ ちいさな塵(ちり)を 抱(いだ)きつつ
ひかりのなかで 踊り続ける」
(真っ赤に燃える炎の中に、どうしても消し去れない塵がある。その塵こそが、この光を作っている。なんだか、少し切ない真実だね。)
5. 講義の結びの言葉
「『ロウソクに 似ているね』って 言われるような
あなたの明日を 願っているよ」
(講義の終わりに私に言えるのはひとつだけ。君たちがこれからの時間を、誰かを静かに照らすロウソクのように生きてくれたら。そんなふうに願っている。)」
「俵万智風にするためのポイント」が記されている。「『サラダ記念日』的な視点: 難しい専門用語を、親しみやすい生活語に変換」。「五七五七七の残響: 散文であっても、心地よい七五調のリズムを底流に置く」。「肯定的な感性: 科学的な発見を、発見(=驚き)ではなく、感動(=心の揺れ)として描写する」。
つづく
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