たった一人の生還
- 2021/09/16 06:14
- カテゴリー:読み物
私は常に空気孔を背にして座るようにしていた。
同じ事が二度語られる(p127、242)。佐野三治著「たった一人の生還-たか号漂流二十七日間の闘い」(新潮文庫、1995年)から。
なぜそうしていたか、その理由は、はっきりとは述べられない。察することはできる。「みんなに幻覚症状が起こり始め」「ラフトの中はのっぴきならない状況に陥りつつあった」。それでも著者は冷静だった。ボートの空気が抜ける事態だけは避けねばならないと。
# 文庫100冊、松田宏也著ミニヤコンカ奇跡の生還(いずれもサイト内)。「神様なんかこの世にいねぇよ……」ヨットが転覆し、わずかな水とビスケットで太平洋を漂流した27日間(2018年)