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失踪者

  • 2022/01/06 06:27
  • カテゴリー:読み物

頭の中にあるのは三度三度の食物をどうするかということだけである。朝食をつめこんでいるときには昼食のことを、昼食を貪り喰っているときには夕食の心配をしている。さながら一個のイーティング・マシーンである。われながら厭になるときがあった。

程度の差はあれど、生きるとはそういうことではないだろうか。この主人公の場合には、追い詰められて採取生活を送らざるを得ない。口にするのは、縞蛇や、赤蛙、野ネズミ、ホンダワラ、昆布、牡蠣、そしてデザートはあけびの実、という状況。引用は、野呂邦暢著「冬の皇帝-野呂邦暢小説集成4」(文遊社、2016年)に収載の「失踪者」から(p282)。初出は1975年。

これはなかなかのサスペンスだ。最初に歴史小説を読んだ。青春ミステリーの作品があるかと思えば、私小説風や、このようにサスペンスものがあったりする。芸の幅が広い役者を見るかのようだ。

野呂邦暢(サイト内)

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