名曲悪口事典
- 2018/05/30 06:51
- カテゴリー:音楽
シェーンベルクは、不協和音を法則にまで昇華させようとする、もっとも過激な論者の一人である。美学には、醜悪を追求する美学もあるのだ。(『ジグナーレ Signale』ベルリン、1907年5月29日)
引用は、ニコラス・スロニムスキー著「名曲悪口事典 - ベートーヴェン以降の名曲悪評集」(音楽之友社、08年)から(p299)。原書、Nicolas Slonimsky: Lexicon of Musical Invective (New York, W. W. Norton & Co.)、初版53年、新装版00年。新装版に付いている Peter Schickele 氏の序文が、この日本語版でも訳出されている。PDQ Bach の Schickele 氏だ。
シェーンベルクへの悪口の数々は、目次でページ数を計算すると、三十数ページにも及ぶ。そのページ数は、採り上げられた作曲家の中で最も多く、悪口の一割ほどを占める。次点はワーグナーでほぼ同じ。もちろん著者による取捨選択はあったのだろうが、母集団の多さが反映されているだろう。悪評(の数)最上位にこの二人が来ることはしごく妥当だ(個人的意見)。