京都・奈良の塔
- 2024/12/14 06:37
- カテゴリー:工芸・美術
塔が好きだ。東寺や薬師寺などにある木造の五重塔や三重塔のこと。
高校の修学旅行で羽黒山の五重塔を観て心に強く感じるものがあり、以来四十数年、折に触れて塔を訪ねて来た。何度も訪ねた塔もあれば、まだ観ぬ塔が残っていたりもする。
先日、友人との会話の中で浄瑠璃寺の三重塔が話題になった。たまたま訪ねて塔に少し興味を持ったということだった。長年の飲み友だちだけれど、これまで塔について話したことはなかったように思う。その後のやり取りの中で塔について書いた。
「浄瑠璃寺の話が出たのには、正直、驚きました。寺社仏閣、近代の歴史、陶芸、と似たようなことを考えているのですね。お互いそういうお年頃ということでしょうか。
「塔巡りは、時々やるのですが、京都と奈良の場合、多く伝わっていて、まとめて訪ねることになります。直近の旅行(3泊4日)で訪ねたところを並べてみましょう。
まず京都。東寺からスタートして、法観寺、仁和寺、醍醐寺、そして、海住山寺。いずれも五重塔は国宝か重文です。
最初の3つは街中です。醍醐寺は遠いですが地下鉄が通っています。海住山寺は京都府でもだいぶ南の方にあって奈良からが便利です。実際この時は奈良駅からシェアリング・カーで行きました。
海住山寺があるのは京都府木津川市。浄瑠璃寺は同市内です。近くに岩船寺、ここにも三重塔があります。このシリーズではこの二寺には訪ねませんでした。その代わりに、もう少し南にある円成寺で、運慶作「大日如来坐像」を観ました。
ほかに、京都御所や、知恩院の三門、広隆寺の「弥勒菩薩半跏像」など、塔を訪ねる道々で立ち寄ったりしました。
「続いて奈良。奈良の五重塔は、法隆寺、室生寺、興福寺、その3基です。が、この奈良行ではどれも観ませんでした。興福寺の五重塔は、修復工事のカバーで覆われています。
この時は、シブいところを訪ねました。不退寺(多宝塔下重)、海龍王寺(五重小塔)、興福寺(三重塔)、そして、元興寺(五重小塔)。
興福寺の三重塔は、南円堂から猿沢池へ下る途中にあります。訪ねる人も少なく、ひっそりとしています。
二つの五重小塔は、両方とも、堂のなかに収められています。上から下まで、つぶさに観察することができます。塔好きにはたまらない2基です。
この時は、法華寺や、秋篠寺にも立ち寄っています。秋篠寺には、あの「伎芸天像」があります。京都の部で書いた円成寺、その所在地は奈良県です。
「その直近の旅では訪ねませんでしたが、奈良には、いい三重塔があります。
薬師寺に2基。古くからの東塔は、わが国で最も美しい塔だと思います。何度観ても圧倒されます。西塔は、近年の再建です。創建時の鮮やかな色彩を見ることができます。
当麻寺にも2基。東と西、山裾の木々に囲まれて趣があります。
法隆寺からほど近い斑鳩の里に、法起寺と法輪寺があります。いずれも三重塔です。前者は飛鳥時代、後者は昭和の再建。ですが、ぱっと見、同じように見えます。
国宝や重文、古い新しいに限らず、塔には、古えの工匠たちの技を観ることができます。彼らの熱い魂に触れる思いがして言葉をなくします。
京都奈良で、まず一つ、ということでしたら、薬師寺の東塔でしょうか。浄瑠璃寺の三重塔とは違った感銘を受けると思います。
京都奈良編とりあえず終わり。地方にも良い塔が色々あります。また書き送ります。きっと行きたくなりますよ。