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手塚治虫日記を読む

ずっと続けている脊髄前角注射は、結局、モルヒネであった。柔らかく包み込むように痛みが消えて、体内が暖かくなっていく時の快感は、母に抱かれているような素晴らしさだ

ETV特集「手塚治虫の遺産 父の背中~手塚治虫日記を読む」(1995年)から。

1988年、手塚さんは、胃ガンで病床にあった、その頃も日記を書いていた。

その前年、私は、似たような経験をしていた。就職したその年、腰部に激しい痛みがあり病院へ担ぎ込まれた。原因は、尿管結石。即入院となり、鎮痛のために神経ブロックの残置針を付けてもらった。針は脊髄のどこかに刺さっている。チューブは、背中に這わせ、その出口(注入口)は首のあたりにあった。

激痛が走った時に枕元の呼び出しボタンを押す。担当の方がやって来て、薬剤を注入してくれる。冷たい液が背中のチューブを流れて行くのが判る。それが患部付近に届くや否や、痛みは嘘のように、すぅー、と消えていく。何という心地良さだろう。

何回打ってもらっただろうか、その回数は覚えていない。が、あの時の「快感」は忘れられない。それは「暖かく」ではなく、薬液の冷たさを伴っていた。

手塚治虫定期通院(いずれもサイト内)。おとなのEテレタイムマシン▽ETV特集「手塚治虫の遺産 父の背中~手塚治虫日記を読む」(NHK-Eテレ、11/1 22時、1995/7/10 初回放送)

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