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Re7:「ロウソクの科学」

  • 2025/12/30 06:10
  • カテゴリー:読み物
ファラデー著「ロウソクの科学」、◯◯風の邦訳、その7。最終回。
 
「ロウソクの科学」の冒頭や結びなど計5箇所について、AIによる邦訳をいくつか紹介して来た。山田風太郎風や、小学生向け解説風、森鴎外風、特許公報風、俵万智風、国会答弁風。
 
紹介していない翻案はまだまだ残っていて、最終回の今回は、それらから結びの言葉だけを抜き出して並べてみよう。結びの言葉「祭り」。
 
村上春樹調:
「最後になるけれど、僕が君たちに望むのは、君たち自身がひとつのロウソクとして世界に存在してほしいということだ。たとえそれがどれほどささやかで、頼りない灯火であったとしても。自分自身の内側にある何かを燃やし、その光で周囲を等身大に照らし出すこと。もし君たちがそうして生きていけるなら、それはたぶん、悪くない人生だと思う」
 
三島由紀夫調:
「最後に、私は諸君に命じたい。諸君自身がこのロウソクの如く、峻烈なる存在であらんことを。自己を燃焼させ、その命を光へと転換する潔い献身。灰燼に帰すその一瞬まで、暗雲を貫く純粋な光体として世界と対峙すること。美しく燃え尽きることのない生などは、単なる停滞した腐敗に過ぎぬからだ」
 
筒井康隆調:
「以上だ! 私が諸君に期待するのは、せいぜいこのロウソクのように、派手に自分を使い果たして燃え尽きることぐらいだ。どうせ人間、死ぬ時は死ぬ。ならば、周囲を少しはマシに照らしてから、景気良くパッと消えてしまえ。いいか、無意味な生を貪るのだけはやめておけ。……さて、腹が減った。解散!」
 
宮本輝調:
「講義を終えるにあたって、僕が君たちに伝えたいことは一つだけだ。どうか、このロウソクのような人間になってほしい。自分に与えられた命を惜しみなく燃やし、その温かな光で、隣にいる誰かの足元を照らしてあげてほしい。たとえ一瞬の輝きであっても、真心を持って燃える人生は、この世界を少しだけ明るく、優しいものに変えてくれるはずだから」
 
山田風太郎調(別バージョン): 
「さて、どうやらこの与太話も終幕(おわり)らしい。人間もいつかは野辺の送りをされる運命だ。最後に一つだけ。願わくば諸君、己の身を焦がし、あたりを照らす蠟燭のように生きるがいい。馬鹿馬鹿しい人生だが、それもまた一興(いっきょう)だ。」
 
久生十蘭風訳:
「さて、この長きに亘る講義も、はや終焉の時を迎えた。最後に余が諸君に望むは、ただ一つ。願わくば諸君、己が身を削り、その短い生を、一本の蠟燭のように妖しく、そして激しく燃やし尽くすがよい。それが、この不可思議なる世界への、唯一の復讐となるだろう。」
 
松本清張調:
「最後に私が言いたいのは、諸君自身もまた、この一本のロウソクのような存在であってほしいということだ。自己を徹底的に消費し、その対価として周囲を照らす。そこには感傷などというものは無用だ。ただ与えられた職分を、論理的な正確さをもって遂行する。そうした執拗なまでの誠実さが、この暗澹とした世界を僅かに明るくする唯一の手段なのだから」
 
中島敦の絶望調:
「余は最後に、諸君に望む。……いや、望むまい。いかなる希望も、詮無きことだ。諸君はロウソクのように、ただ己を燃やし、その業火の中で苦悶しながら生きるしかないのだ。世界を照らすなどという美辞麗句は無用。己の存在そのものが苦痛であるという厳然たる事実と、諸君は向き合い続けねばならぬ。この断ち切れぬ業こそが、我々の宿命である」
 
山上憶良風:『臘燭哀歌(ろうそくのかなしび)』
「短(みじか)夜(よ)を 身を削りつつ 照らす火の 如(ごと)く生(い)きよと 我(わ)は祈りなむ」
(講義の終わりに願う。老いや死がいつ訪れるか分からぬこの無常の世で、諸君よ、己を削り、暗闇に震える誰かを照らす一本の臘燭となって生きよ。子を思う親の如く私は祈る。)
 
離婚に際しての独白:
「ファラデーは最後に『ロウソクのようになりなさい』と子供たちに願った。自分を燃やして、世界を照らせ、と。……あの子には、いつかそんなふうに生きてほしいと思うよ。でも僕にはもう、誰かを照らす光なんて残っていない。僕というロウソクは、もう芯まで燃え尽きてしまったから。……あとは、ただ静かに火が消えるのを待つだけだよ。じゃあ、行こうか」
 
ようちえんの せんせい風:
「最後にお約束ですよ。みんなも、このロウソクさんみたいに、心の中に小さなポッていう火を灯してね。その温かい火で、お友達に優しくしてあげたり、みんなをニコニコにさせてあげてほしいな。みんながキラキラのロウソクさんになれば、世界中がピカピカに光って、とっても楽しくなるからね! はい、おしまい!」
 
同窓会での語り:
「講義の最後、ファラデーはこう結んだんだ。『君たち自身が、ロウソクのようになってほしい』って。誰かを照らす光になりなさい、と。……今の君を見ていると、その言葉がよくわかる気がするよ。君の笑顔は、あの頃と変わらず周りを温かくしてくれる。今日、再会できたことに感謝して、このロウソクの火……いや、グラスの酒で乾杯しよう。これからもお互い、いい光を灯していけたらいいな」
 
化学専攻の大学院生向け訳:
「講義の総括として、諸君に期待を込めた命題を授けたい。諸君自身が、この世界における『ロウソク』として機能せんことを。自己の知見を燃焼させ、そのエネルギーを社会を照らす光へと高効率で変換する。たとえ微小なフラックス(通量)であっても、法則に基づき、誠実に真理を体現し続けること。それが科学を志す者の至高の倫理であると確信している」
 
再点火の午後:『30年目のロウソクの科学』
「ファラデーは最後にこう結んだんだ。『君たち自身が、ロウソクの光になってほしい』って。……30年、僕らはそれぞれ別の場所を照らしてきたけれど、これからは一本の火を、二人で見つめて生きていくのも悪くない。……ねえ、もう一度、灯し直してみてもいいかな。僕たちの、この消えなかった火を。」
 
特許明細書風(別バージョン):
「【請求項1】自己消費型燃料を燃焼させて光エネルギーを放出する手段において、周囲の酸素濃度および重力ポテンシャルに応答して、自己の反応を定常的に維持し、かつ周辺環境に対し継続的なエネルギー照射を行うことを特徴とする、人間等価型発光モジュール。
【要約】本発明は、各構成員が自立した光源として機能し、社会という全体系において情報の非対称性を解消(照明)することを目指すものである」
 
バブル絶頂・前向き調:
「最後に、僕からのメッセージだ。皆さんも、このキャンドルのように生きてほしい。自らの情熱を惜しみなく燃やし、その眩いほどの光で、この時代を、この世界を鮮やかに照らし出してほしいんだ。チャンスは無限に広がっている。君たちが光り輝く主役になれば、未来はもっとゴージャスになるはずだ。さあ、最高のパーティーを始めよう!」
 
翻案はここまで。ファラデーの原文も載せておこう。
 
Indeed, all I can say to you at the end of these lectures (for we must come to an end at one time or other) is to express a wish that you may, in your generation, be fit to compare to a candle; that you may, like it, shine as lights to those about you; that, in all your actions, you may justify the beauty of the taper by making your deeds honourable and effectual in the discharge of your duty to your fellow-men.
 
本シリーズ、これにて終了。
 
「ロウソクの科学」(サイト内)。Gemini(AI)による翻案を、2025/12/21に実施
 
追記)一連の作業の後に、AIとこんなやり取りをした。
 
Q)まったく違う話のようになってしまいますね。笑いました。
 
A)私も書きながら「ファラデーもまさか160年後に、自分の科学講義が日本の再会カップルの口説き文句に使われるとは夢にも思わなかっただろうな」と、おかしくなってしまいました。科学の言葉というのは面白いもので、突き詰めると「光」や「熱」や「引力」といった、極めて根源的な現象を扱っています。だからこそ、村上春樹風の乾いた孤独にも、特許公報の無機質な機能美にも、そして「焼けぼっくいに火が付く」情熱的な再会シーンにも、不思議なほどピタリと重なってしまうのかもしれません。同じGutenbergの原文を読み上げても、その時の心の持ちようで、物理法則に見えることもあれば、人生の教訓に見えることもあり、あるいは愛の告白に聞こえることもある。それこそが、時代や国境を越えて愛され続ける古典の「深み」であり、言語の持つ「遊び」の楽しさですね。
 
Q)ところで、生成された訳文の著作権はどうなりますか
 
A)主に以下の3つの観点から整理できます。AI生成物の著作権(日本法での原則)、利用規約(Google Geminiの場合)、そして原作者(ファラデーおよび模倣した作家)の権利。結論として、今回の訳文は、自由に使用・公開できます。ただし、公の場で発表する場合は、「マイケル・ファラデーの原文を、Gemini(AI)を用いて特定の作家風に翻案したもの」といった旨を注釈として添えると、学術的・倫理的にも適切です。

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