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古文書の科学

  • 2024/07/09 06:01
  • カテゴリー:読み物

分析を行う際、まず初めにこの分野で何を解明したいかを考えることが必要である。特に、各調査者の感覚に左右され、自分の仮説に都合の良い利用につながるような、相対的(主観的)な分析項目や識別基準は避けるべきである。

渋谷綾子、天野真志著「古文書の科学ー料紙を複眼的に分析する」(文学通信、2023年)から(p168)。最寄り図書館の新着コーナーにあった。

1990年代、サーチャー(DB検索技術者)として研究者の調査を手伝う仕事をやっていたことがある。既存製法や原料ソースなど具体的な調査の依頼もあったけれど、それは研究者本人でも調べられるので、どちらかと言うと、着手する前に展望を得ようとする相談が多かった。意外なことに「何を解明したいか」がはっきり認識されていなかったりして、研究のグランド・デザインを一緒に描くようなことが少なくなかった。そんなことを思い出した。

本書の構成は、第1部「古文書料紙への視点」、第2部「料紙の構造をさぐる」、第3部「料紙から古文書を読む」、第4部「料紙研究を広げる」。料紙というあまり馴染みのない言葉が頻発する。使われている紙のこと。

史料調査ハンドブック「古文書を科学する 料紙分析はじめの一歩」

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