てんやわんや
- 2025/10/31 06:01
- カテゴリー:読み物
そこに、平和と食物があり、人間の生活がある。渦巻の中心を遠ざかるに比例して、安全と幸福がある。
獅子文六著「てんやわんや」(毎日新聞社、1999年)から(p21)。戦後まだまだ世の中が混乱している頃(1948/11/22-1949/4/14)に、毎日新聞で連載された。
上京した犬丸順吉は、戦中戦後を何とか生き延びていた。ある時、「安全と幸福」を求めて故郷の北海道へ逃げ帰ろうと考える。が、「渦巻く運命の潮が寄せてきて」、「一片のワラのように、押し流」されて行く。
人は、自分の意図に関係なく渦に巻き込まれて行くものだ。あらためてそう思った。