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手紙

  • 2024/08/01 05:43
  • カテゴリー:読み物

私はまだ道楽を始めませんから、だいじょうぶですというはがきが来た。重吉の用いたこのまだという字がいかにもおかしく思われた。妻に、当人本気なのかなと言ったくらいである。

重吉に縁談話があり本人も乗り気なのだが、先方から女道楽をしない堅い人でなけりゃと条件が付く。夏目漱石「手紙」(1911年)から。

あれは5月のことだった。野党の立憲民主党は、政治資金パーティーの全面禁止を規定する法案を衆院に提出しておきながら、党幹部はパーティを続けていることが判明した。仮に法案が成立しても、施行までには2年以上の経過期間がある、その間にパーティを開くことは何ら問題ないと釈明した。

この報道に触れて、これに似た話があったなぁと思ったもののタイトルは頭に浮かんで来なかった。2か月ほど経って、ふとしたことで、それは漱石の短編であると思い出した。

果たして、重吉は遊び人だった。「だいじょうぶ」という言葉はまったくの嘘。「君のような道楽ものは向こうの夫になる資格がない」と指摘されると、「僕は病気なんかに、まだかかりゃしませんよ」と開き直るのだった。

# 夏目漱石政治資金(いずれもサイト内)。夏目漱石「手紙」|青空文庫、立民幹部の政治資金パーティーは「全面禁止法案」と矛盾? 泉健太代表は記者会見で何と答えた【一問一答】(東京新聞、5/24)

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