なぜ高速炉開発協力
- 2022/03/20 05:54
- カテゴリー:時の話題
高速炉開発の日米技術協力に関して、日経がようやく社説で採り上げた。「戦略欠く高速炉の開発協力」(3/17)。米エネルギー省とテラパワー社が進める次世代の高速炉開発に、日本原子力研究開発機構や三菱重工業などが参画する。日本は、原型炉「もんじゅ」で得た技術やデータを提供。新たな知見は両国で共有することになっている。
「日本が原子力を重要電源と位置づける以上、先進技術を維持し国際協力を進めるのは大切である」と一旦持ち上げて、「足元では既存の軽水炉の再稼働が進まず、運転や維持管理の人材育成もおぼつかない。新増設の議論も避けたままで、次世代炉の構想を描いても現実味はない」(経3/17)と冷やかに突き落とす。同紙のパターンだ。
他紙の社説は年明けから意見を述べていた。「高速炉への協力は好機」(産1/7)、「国際協力で日本の技術生かせ」(読1/15)。「実用化が見通せない新技術で、いまの原子力政策の問題点を覆い隠すのはやめるべき」(朝1/28)。
「今回の協力には疑問が多い」(毎2/5)。日本が長年検討して来たのは、使用済み燃料からプルトニウムを抽出する核燃料サイクル。ところが、米国の開発では濃縮ウランを使用し燃料リサイクルは想定していない。技術協力と見せかけて、実は、別の理由があるのではないか。「もんじゅ」の頓挫で行き詰った「サイクル政策の延命」を図ろうとしているなら問題だ。
政府は既に破綻状態にある核燃料サイクル政策を検証すべき。なぜそれをしない。何か不都合な点でもあるのか。社説にはぜひそこまで踏み込んで意見してもらいたいものだ。
さて、3/14週の六紙社説が揃って書いたのは、ウクライナ情勢、重点措置解除、そして東北震度6強だった。ほかには、北京パラリンピック閉幕、自民党大会、強制不妊判決、広島県議ら34人一転起訴、ふるさと納税訴訟、年金受給者に5千円案、3年ぶりFRB利上げ、春闘集中回答、ヒアリ対策などが題材になった。