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キーワード「六紙」の検索結果は以下のとおりです。

治安は悪化しているのか

  • 2025/03/09 06:05
  • カテゴリー:読み物

歴史的に見て暴力は確実に減少している。しかも、数千年、数百年、数十年というどの時間尺度をとってもそうなのである。

スティーブン・ピンカー著「暴力の人類史」は、「説得力のあるデータ」によってそれを詳らかにしているのだとか。引用は、澤畑塁氏によるコメントから。ノンフィクション書評サイトHONZの最終回に掲載されている。

このピンカーの著作、最寄り図書館に蔵書されていることを確認。近い内に借りて来ようと思う。とりあえず予約かごに入れた。

それが一昨日のこと。そして昨日、在京六紙の社説、一週間分を眺めていると「治安情勢が悪化 犯罪対策が効いていない」というタイトルがあった。3/3付け産経新聞。

「国民の体感治安が悪化」、それだけでなく、実際に犯罪数が増加していることをその社説は伝えている。警察庁の統計によると、刑法犯の発生件数は前年を5%ほど上回り、「新型コロナ禍以前の水準にほぼ戻ってしまった」と。

殺人や強盗などの凶悪犯罪の場合、昭和期には年1万件あったのが、平成には6千件、令和に入って4千件、と減少傾向にあった。大きな流れとして、そう記憶している。

あらためて統計を見た。凶悪犯罪は、令和元年から4年まで、その発生件数は4千件台だったのが、5年は、5,750件、昨年6年は、7,034年と、2年間で大きく増えている。

ピンカーも言うように長い目で見ると下り坂なのだろう。が、これから先、数年ほどは犯罪増が続き、平成14、15年の頃のようなピークを、また、形成するのかもしれない。

さて、3/3週の六紙社説は、そのほかに、米ウクライナ会談決裂、出生数最少72万人、米自動車関税、高額療養費、予算案衆院通過、トランプ氏の議会演説、岩手の山火事、兵庫県百条委報告と斎藤知事、国際女性デー、中国全人代、などを話題にした。

六紙社説、社会不安高めるSNS悪用(いずれもサイト内)。2011-2024 この13年間における最高の一冊(2024/7/15)|HONZ、犯罪統計|警察庁

「差し引きすれば、損だ」

一体、いくらの「目に見える」額が浮くのか知りませんが、代わりに失うかもしれぬ「目に見えない」価値に思いを致すべきです。

東京新聞の社説「週のはじめに考える アメリカのビジネス」(2/23)から。欲得ずくのビジネス丸出しのトランプ政策に対し、それでいいのかと問い掛ける。在京六紙の中では、同紙の社説をじっくり読むことが多い。

MAGA(メーク・アメリカ・グレート・アゲイン)とは言うけれど、そんな気張らなくてもアメリカは既にグレートだろ。大統領やマスク氏が、USAIDを閉鎖し、対外援助を止めつつあるのは、どっちかと言うと、グレートでなくなろうとしているように見える。

第二次世界大戦後、国際的に様々なルールができた。その基本精神は、「一国でなく全体の恩恵」のはず。その秩序の維持拡大にアメリカは大いに役割を果たした。戦勝国としてアメリカのやり方を他国へ押し付けるなど、ずっと、利己的ではあったものの、一方で、自由と民主主義を堅持し、どの国よりも、利他的に対外貢献をした。グレートたる所以だ。

今はもう、その頃のアメリカではない。対外援助を止める。自国の得になるのなら、他国が苦しんでも構わない。そんな米国第一は、差し引きすれば、損になるのでは、と。

富んだ国が他国の困窮する人々を支援する。国際的な再分配だ。米国は、世界の警察官役を返上したと言われて久しいが、再分配する立場からも降りるのか。国内の格差の解消、緩和で手一杯なのかもしれない。世界は新たな秩序を探すことになるのだろうか。

さて、2/24週の六紙社説は、そのほかに、ロシアのウクライナ侵略3年、学術会議法案、立憲民主党大会、維新県議の情報漏洩、原発事故巡る避難対策、ドイツで政権交代へ、高校無償化、オンライン賭博、下水道老朽化、ミャンマー詐欺団、岩手・大船渡の山火事、旧安倍派裏金参考人聴取、などを話題にした。

六紙社説、戦後80年とトランプ2.0(いずれもサイト内)

政府備蓄米放出

放出せよ、その声は昨夏から高まっていた。消費者のコメ食へのシフトや、訪日外国人の需要増、猛暑による精米流通量減少、南海トラフ地震を警戒した買い溜めなどが重なり、コメが極端な品不足に陥ったためだ。が、農林水産省は応じなかった。結果、品薄は続き、価格は高騰。今月になって、ようやく、農水省は緊急対応で備蓄米を放出することを決めた。

在京六紙の社説がどう意見しているか見てみた。各紙とも、政府の稚拙な対応や、なぜ品薄や価格の高騰が起きているのかその原因を書いている。

「農水省の対応は後手に回った」。買い付け競争が激しくなり、業者や農家などは「在庫を積み増した」。皆、「値上がりを見越して確保」しようとした(産2/9)

農水省の遅い対応が「流通関係者の不安を招き、品不足に拍車をかけた」。卸しや外食など流通サイドは「早めに在庫を確保」しようとした(読2/6)

コメの高値は一過性、それは農水省の「見込み違い」。将来、値が上がると期待し、流通業者は「買い占め」、農家は「売り渋り」した。(朝2/15)

「規模の小さい業者にも在庫が分散」しているにもかかわらず、農水省はその「全体像をつかめていない」(経2/21)

農水省の「見通しは外れ」た。「投機的な動きが原因で米価がつり上げられ」た可能性がある(毎2/13)

農水省は「流通の実態を把握できていなかった」。一方、「投機筋」は、コメの値上がりを見込んで「買い占め」に走った(東2/19)

間抜けと言うのは気の毒だろうか、先の読みが甘いお役人。そして、その対処の拙さに付け込んで金儲けを企てる悪人。そんなやつらがいるということだ。

さて、2/17週の六紙社説は、そのほかに、トランプ政策、ウクライナ和平、前首相襲撃事件判決、エネルギー計画、日米韓の会談、拉致問題の解決、デジタル教科書、核禁会議に政府不参加、オンラインカジノ、国際犯罪組織と特殊詐欺、高校授業料の無償化、公選法改正案などを話題にした。

六紙社説、コメ不足の原因(いずれもサイト内)

ホンダ日産破談

両社の経営陣のビジネス交渉における稚拙さを感じざるをえない

自動車業界に詳しいアナリストの言葉をNHKの記事(2/13)が伝えている。稚拙さとあるけれど本当にそう言ってしまって良いのだろうか。なにせ売上高10兆円を超えるメーカーを率いている経営者だ。間抜けでは務まらない。

株式会社日本の儲け頭、自動車産業の二番手と三番手が統合の協議を進めていた。経営難に直面する日産に対して、まだ余裕のあるホンダが完全子会社化を提案したところ、日産の高いプライドがそれを容れられず、統合話は御破産になってしまった。

この件を採り上げた、在京六紙の社説を見てみよう。

「危機感欠く日産とホンダの協議打ち切り」(経2/7)。日産の意思決定の遅さはつとに指摘される。が、「ホンダも強硬姿勢に出る前に、もう少し丁寧に妥協点を探れなかったのだろうか」。

「ホンダ・日産破談 統合せず生き残れるのか」(産2/7)。「両社経営陣は」「どうやって世界市場で戦うかについて説得力のある戦略を示すべきである」。

「ホンダ日産破談 大変革期に挑む覚悟足りない」(読2/14)。現状認識の甘すぎる日産に対して「ホンダ側も事前にもっと丁寧に意思疎通を図るべきではなかったか」。

「ホンダ・日産の破談 生き残りの展望見えない」(毎2/15)。危機的状況にある日産は再建策を打ち出せない。「一方のホンダも、統合の相乗効果を発揮する戦略を提示できていたとは言いがたい」。

と、多くは日産ホンダ両社を難じる。ダメな日産を救済するために、ホンダはもうちょっと上手くやるべきだった、と言うわけだ。が、日産を見限る声もある、

「ホンダとの統合破談で急務の日産再建」(経2/15)、将来に「描くべき成長戦略が見えてこない」。「ホンダとの破談 日産は現実と向き合え」(東2/13)、「もはや現経営陣による企業統治は限界だ」。

その東京新聞の社説は、「経営統合計画自体に無理があったのではないか」とも書く。巨額の社債償還の期限が迫る日産には時間的余裕はない。ホンダは、そんな日産の負債を背追い込むと共倒れしかねない。そうなっては元も子もない。

ホンダは、稚拙と評される交渉の果てに、比較的、無難な道筋を選んだのかもしれない。

統合の協議を進める中で、互いに相手を深く知るようになった。ホンダは日産の余程の惨状を見たのではあるまいか。そこで、この話をなかったことにするために一計を案じる。完全子会社の話を持ち出せば、日産のプライドはそれを決して許さない。頭に血が上って断って来るに違いない。これならば、統合に賭けるホンダの真剣さは世に伝わるし、日産のメンツもある程度は保てるだろう。

その辺りが真相では、と邪推してしまう。

朝日新聞は、本件について社説で意見していない。今日までのリストを、あらためて、眺めてみたが、やはり、見当たらない。同紙1面の名物コラム「天声人語」(2/14)には登場していた。おや、と「相手に疑問を覚え」て、恋が冷めてしまった、とある。

さて、2/10週の六紙社説は、そのほかに、米WHO脱退、PFAS基準、備蓄米放出、米露のウクライナ停戦交渉、国民民主党の役割、高額療養費、米中AI開発、サイバー防御、オンライン賭博、トランプ関税、などを話題にした。

六紙社説、ホンダ(サイト内)。【詳しく】ホンダ 日産 経営統合協議を打ち切り 両社の課題は(2/13)、歴史的な経営統合 なぜ破談?その先は?(2/14)|NHK

戦後80年とトランプ2.0

毎日新聞は年始の社説タイトルに「戦後80年」を掲げた。シリーズなのだろう、1月の内に数本あり、今月になって、さらに1本加わった。タイトルの「戦後80年」に続くフレーズを並べてみよう。

  • 混迷する世界と日本 「人道第一」の秩序構築を(1/1)
  • 転換期の日本政治 民主主義、鍛え直す努力を(1/3)
  • 日本外交とアジア 安定へ役割を果たす時だ(1/4)
  • 米国第一と世界経済 分断乗り越える英知こそ(1/5)
  • 多様化する家族 生き方尊重し合う社会に(1/6)
  • 民主主義とSNS 分断乗り越え共感の場に(1/12)
  • 人口減少下の雇用 働き手の力生かす社会に(1/13)
  • 憲法のこれから 国民が議論を取り戻す時(1/20)
  • 曲がり角の社会保障 安心守る仕組み再構築を(2/3)

同紙社説は、1月下旬、別のシリーズを始めた。「トランプ2.0」。こちらはこんな感じ、

  • 米国第一の復活 これが「偉大な国」なのか(1/22)
  • 米国のパリ協定離脱 気候対策後退を懸念する(1/23)
  • 高関税政策の発動 貿易戦争に勝者はいない(1/24)
  • 「力の平和」と日本 外交の主体性が問われる(1/26)
  • 米のWHO脱退表明 国際協力後退させる愚行(1/30)
  • 「非核化」の提案 米国の行動が求められる(2/4)
  • 関税振りかざす外交 秩序損なう経済的威圧だ(2/6)
  • 「ガザ所有」発言 尊厳を踏みにじる傲慢さ(2/7)

先の大戦が終わって80年、第2期トランプ政権、一見まったく関係ない話。なのだが、両シリーズの一連のタイトルを併せ読むと、無関係どころか、綾織りのように密接にからみあう様が見えるようだ。日本は、米国を前にして、あたかも、猫に睨まれた鼠であり、親会社の顔色を窺う子会社であることを痛感する。

シリーズ「戦後80年」の内の1本「憲法のこれから~」(1/20)は、自民党初代総裁である鳩山一郎首相の言葉「わが国を真の独立国家に立ち返らせる」を引用している。戦後80年の節目や、トランプ2.0の政策が、その実現のきっかけとなれば良いのだが。

さて、2/3週、毎日新聞含む在京六紙の社説は、そのほかに、埼玉道路陥没事故、備蓄米の活用、米通商政策、国立劇場建て替え、ディープシーク、ガザ米所有提案、国連女性委に拠出拒否、国会の予算案審議、兵庫知事選捜索、ミャンマー情勢、石破首相訪米、鳥インフルエンザ拡大、などを話題に採り上げた。

六紙社説、トランプ登場に備えよ(いずれもサイト内)

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