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テンペスト

王府が建造した新しい船は、清国式のジャンク戦だ。竜骨と隔壁構造を持つ船は、インディアン・オーク号よりも構造的に優れている。これでちょっとした嵐でも沈没することはないだろう。読谷村の河口で建造中の船は急拵えとは思えないほど美しい

北谷沖で難破した英国船の代わりに、王府が読谷(の渡具知)で代替船を造ったのは史実だったんだな。先日の文化講座「近世琉球の船舶―造船技術の現状と課題」でその話を聴いた。北谷町誌にも記載されているとか。引用は、池上永一著「テンペスト」(角川書店、08年)から(上巻、p184)。

これ以外にも、この小説には、様々な史実が織り込まれている。宮殿内の間取りや建物の位置関係もよく研究されているし、王府の位階は事実を踏襲しているようだ。それもあってか、表では役人たちの出世競争、裏では後宮の女たちを取り巻く醜状、そして表と裏の駆け引きや陰謀、それらは、オビにある通り「圧倒的にリアル」だ。

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