敗戦国の艦船はどうなる
- 2024/06/05 06:05
- カテゴリー:読み物
第一次世界大戦と違うのは、敗戦国には戦勝国に引き渡せる大型海上戦艦がほとんどなかったことだ。
第二次世界大戦、終わってみると、日本やドイツの主要戦艦のほとんどは撃沈されてしまっていた。戦後、戦勝国が利用できたのは、日本の戦艦長門と巡洋艦酒匂(さかわ)、そしてドイツの巡洋艦プリンツ・オイゲンの3隻だった。3隻は、1946年、ビキニ環礁で、核実験の標的艦にされた。
第6章「20~21世紀の難破船」では二つの大戦で沈んだ船の物語に多くのページが割かれている。戦前の1912年に沈没したタイタニック号もこの章に登場する。A・G・ジェイミソン著「沈没船からみる世界の歴史」(原書房、2023年)。上の引用は、p282から。
第一次世界大戦の場合、敗戦国、特にドイツの艦船はどうなったのだろうか。戦後ドイツには、戦艦16隻など74隻もの艦船が残っていた。ごっそり戦勝国へ引き渡されイギリスの海軍基地に抑留される。のだが、独海軍の提督は自身の艦隊を自沈させる挙に出る。戦勝国に分配されることをおそれたのだった。イギリスは、怒りを表明したものの、実は「この最新のドイツ戦艦が他国の艦隊に加わらなかったことに安堵もしていた」(p254)。
色々な思惑がある。
# 沈没船からみる世界の歴史、エヴァーギヴン号(いずれもサイト内)。長門 (戦艦)、酒匂 (軽巡洋艦)、プリンツ・オイゲン (重巡洋艦)|Wikipedia