錦繍
- 2024/06/08 05:52
- カテゴリー:読み物
女中は御飯をよそってくれ、しばらく黙っていましたが、やがて、毎年あの日が来ると、床の間に花を飾ることにしているのだと言いました。
宮本輝著「錦繍」(新潮文庫、1985年)から(p182)。
時々この本を読みたくなって引っ張り出して来る、「毎年」というほどの頻度ではないのだけれど。先日また読んだ。その折、友人宛てメール、正確にはLINE、にこう書いた。
「錦繍、読んだよ。亜紀と令子、女性二人の健気さ、いじらしさ、たくましさに、うるっとしてしまった。何度読んでもそうなる。それに、一番気になるのは、ぱあっと花が咲いたみたいな、きれいな人(p183)、由加子のこと。これも毎度そう。モーツアルトの話がうっとおしいし、生きるとか死ぬとか説教くさいところが鼻につくけれど、男の気持ち、女の気持ちが感じられるこの物語が好き」。
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