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笊ノ目万兵衛門外へ

  • 2020/05/01 07:02
  • カテゴリー:読み物

「雪の日やあれも人の子樽拾い」誰もが知るこの句の作者は、吉宗時代の老中で磐城平五万石の大名、安藤対馬守信友である。

山田風太郎著「笊ノ目万兵衛門外へ」は、そんな風に始まる。あれと思った。対馬守(つしまのかみ)信友の藩は、磐城平だったろうか。いつだったか、備中松山城を訪ねた際、その藩で起きたお家騒動の顛末を案内板か何かで読んだ。騒ぎの後に転封して来たのが、確か、安藤氏だった。信友の名もあった。その句の作者と紹介されていて、あ、その人かと思ったことを覚えている。なお、そのお家騒動を収めたのは赤穂藩の家老、大石内蔵助だった。あの大石だ。

安藤信友の藩について調べてみた。備中松山藩へ移って来たのは、安藤重信系(対馬守系安藤家)三代の重博。その長男が信友で、やはり、備中松山6.5万石の家督を継いでいる。のちに同家は、美濃加納藩を経て、六代信成の時代に磐城平藩へ移った。その後は、この小説に登場する十代信正を含めて、ずっと同藩にあった。その時代が長いからだろうか、対馬守系の安藤と言えば、藩は磐城平となるのかもしれない。石高は、磐城平藩へ移った際、引用のように5万石に減封となったが、それは一時のことで、信成の代の内に6.7万石へ加増されている。

# 「笊ノ目万兵衛門外へ」初出72年、時代小説の楽しみ第9巻「維新の群像」(新潮社、91年)、「おれは不知火」(河出文庫、93年)、三河安藤氏重信系 - Wikipedia、城めぐり(12年10月)松江城-備中松山城-丸亀城-高松城

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