お知らせ

メール送信フォームを設けました。ブログ記事への問い合わせなどにご利用下さい。

 

エントリー

キーワード「戦争」の検索結果は以下のとおりです。

卵をめぐる祖父の戦争

  • 2022/11/28 06:26
  • カテゴリー:読み物

暗闇の中でふたりの声に耳を傾けていると、風が窓をがたがた揺らし、ストーヴの中で最後の燃えさしが爆ぜた。この世で一番淋しい音はほかの男女が愛を交わす音だ。

薄い壁越しに聞こえて来る声に青年は悩まされる。まんじりともできない。デイヴィッド・ベニオフ著「卵をめぐる祖父の戦争」田口俊樹訳(早川書房、2010年)から(p107)。原題は、City of Thieves

戦争の愚かさを綴る反戦の書。一方で、音楽や、文学、恋について語られる。チェスも登場する、重要な場面で。この本のことは「プリズン・ブック・クラブ」で知った。受刑者たちが感想を述べ合うシーンがあったかどうか覚えていない。次に読む本、と紹介されたような気もする。その読書会はさぞ盛り上がったのではないだろうか。

プリズン・ブック・クラブ(サイト内)。ショパンとマーラー(p94)、エリーゼのために(p254)

Re: 大地の子

  • 2022/11/17 06:25
  • カテゴリー:読み物

日本の経済復興の経緯は、日本へ行った時に、よく伺いましたよ、だが、それはアメリカという強力なバックアップがあったからで、

現金一括払いにするからと大幅な値切りに応じたのに、後になって延払いに切り替えて欲しいと切望され交渉することに。引用は、その際に中国側の話の中に出た一節。山崎豊子全集20「大地の子 2」(新潮社、2005年)から(p49)

こういう言葉もあった。「資源もないあんな小っぽけな島国が、戦争に負けて、息の根を止められたはずなのに」(大地の子 1、p375)。

日本の息の根を止めたアメリカが、戦後日本の復興をバックアップした。それは、なぜ、どのようにして。原爆二つを投下、市街地への激しい空爆、それらへの反省や良心の呵責がそうさせたのだろうか。反共の砦とか、朝鮮特需とか習った覚えもある。が、深く理解しているわけではない。機会を見て勉強し直してみよう。

大地の子(サイト内)。阿炳『梅花三弄』(p94)、鄧平化(鄧小平 1904-1997)、夏国鋒(華国鋒 1921-2008)、「大地の子」で有名な大プロジェクト、製鉄所の建設で日中協力|日経クロステック

保守と大東亜戦争

  • 2022/11/05 06:20
  • カテゴリー:読み物

本来の保守はリベラルという価値観を共有します。ここで言うリベラルとは左翼思想のことではありません。多様な価値に対する「寛容」と思想信条に対する「自由」です。

中島岳志著「保守と大東亜戦争」(集英社新書、2018年)から(p264)。

「漸進的な改革を志向する保守」にとって、大東亜戦争の悲劇に導いたファッショ的革新勢力も、戦後の民主主義や左翼思想も、同じように嫌悪の対象だった。どちらも行き過ぎた改造や統制により、引用に言う「寛容」も「自由」も限定的だったからだ。

中島岳志(サイト内)。福田恆存(ふくだつねあり、1912-1994)

パール判決を問い直す

  • 2022/10/17 06:36
  • カテゴリー:読み物

制定法があれば十分だという考えは、裁判を知らない人間の稚拙な発想と言わざるを得ない。社会通念にはカメレオンのように変わるという側面もある。けれども、通史的な次元もあり、保守されるべき根本となる規範もあり、慣習法もある、歴史的自然法もある。それらが社会通念のペースをなしている。浮動するのは表層的な面に過ぎない。

日本の侵略戦争や西洋の帝国主義に対するパールの批判的態度は、法律論ではなく社会通念に依拠していた、と西部氏は述べている。引用は、中島岳志+西部邁著「パール判決を問い直す」(講談社現代新書、2008年)、第三章『パール判決書』の問題から(p133)。本書の副題、「日本無罪論」の真相。

「パールの議論は、政治論として正しかった」(p193)と中島氏が言う。1) 欧米による帝国主義・人種差別・原爆投下などの非人道性を非難、2) 日本の帝国主義的歩みについて批判、3) 戦争肯定の論理を拒絶、牽制。4) ヒューマニズムに基づく文明観や世界連邦の理想など自らの思想表明、5) 「法の正義」を盾に東京裁判の政治性を批判。

中島岳志(サイト内)。西部邁|Wikipedia。「侵略」(覇権的先制攻撃)p205

パール判事

  • 2022/10/08 06:23
  • カテゴリー:読み物

東京裁判は、戦勝国の戦争犯罪が裁判にかけられず、構成員が戦勝国によって独占されているという問題があるものの、被告は「人間の行う正義」を甘んじて受け入れなければならない、というのがパールの大前提である。

彼は自身が判事の一人であった東京裁判を根本的に否定していなかった。引用は、中島岳志著「パール判事-東京裁判批判と絶対平和主義」(白水社、2007年)から(p102)。

パール判事は「日本無罪」を唱えた、と言う人たちがいる。誤解もしくは曲解だ。日本による植民地政策の正当化や、大東亜戦争の肯定など一切していない。彼の主張は、「平和に対する罪」や「人道に対する罪」で裁判にかけられた「A級戦犯は法的には無罪」ということだった。これら罪状が国際法に存在しないからだ。一方で「通例の戦争犯罪」で裁くことには積極的で、日本軍による残虐行為を事実と認定し、指導者たちの道義的責任を厳しく追及した。

中島岳志(サイト内)。Radhabinod Pal(1886-1967)

ページ移動

ユーティリティ

« 2024年11月 »

- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30

検索

エントリー検索フォーム
キーワード

新着エントリー

定年後の作法
2024/11/01 05:05
耳鼻科と眼科、24年10月
2024/10/31 06:00
素読のすすめ
2024/10/30 06:03
関西へ、24年10月
2024/10/29 05:57
選挙後の多数派工作へ
2024/10/28 06:24
中国の景気減速
2024/10/27 06:12
もっと、光る君へ(音楽)
2024/10/26 05:52
戦略的思考とは何か
2024/10/25 05:49
川の流れのように
2024/10/24 06:01
ハインリッヒの法則
2024/10/23 05:27

Feed