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キーワード「六紙」の検索結果は以下のとおりです。

首相ウクライナ電撃訪問

岸田文雄首相がキーウを訪問しゼレンスキー大統領と会談した。「少数の政府関係者だけで極秘裏に計画が練られ」(朝3/22)、「事前公表はせず」(産3/22)、「チャーター機や鉄道を乗り継ぎポーランド経由で」(東3/23)、「電撃訪問となった」(読3/22)。「第二次大戦後、日本の首相が戦闘継続中の地域を訪れるのは初めてだ」(毎3/23)。日本の訪問が「G7で最後になった」(経3/23)。

訪ねるのが遅過ぎるのでは、もしくは、そうまでして訪ねる必要があるのか、と難じる社説が在京六紙の中に一つくらいはあるだろうと思ったけれどその予想は外れた。「ウクライナ国民との連帯の意志と、法の支配に基づいて国際秩序を守り抜く決意を国際社会に示したのではないか」(東3/23)、「意義は大きい」(読3/22、毎3/23)、「今回の訪問を評価する」(経3/23)、「率直に評価したい」(朝3/22)、「高く評価したい」(産3/22)。

ウクライナへ行くんだったらロシアを訪ねてプーチン大統領にも会うべきだ、という主張も見当たらない。昨年、ゼレンスキー大統領が日本の国会でオンライン演説した際、プーチン氏にも演説してもらうべきとは一紙たりとも言わなかったので、訪ロを求める声は出ないだろうとは思っていた。が、

首相による今回の訪ウを評価し、ロシアとの直接対話は求めない。大手紙すべてが基本的に同じ方向を見ている。偏っている。論説はもっと多様であっていいはず。安全保障に関して各紙の論調が揃っている、遠い国の話とは言え、これは、よろしくない傾向だ。

なお、本件の社説に「首相キーウ訪問 悲劇を直視した意味は重い」(読3/23)というタイトルがある。「ロシアの侵略がもたらした悲劇を肌で感じた意味は大きいはず」と、現地を訪ねた首相に阿ったのだろうが、却って、想像力の欠如を強調することになった。現場に行かずとも、真のリーダーならば、人の痛みを自らのものとし得る。わが国の首相はそういう人物ではない、と。

さて、3/20週の六紙社説は、そのほかに、南西諸島防衛、イラク戦争20年、袴田さんの再審確定、露大統領に逮捕状、日印首脳会談、欧米金融不安、統一地方選告示、追加物価対策に予備費乱用、動く公示地価、藤井六冠誕生、WBCで日本優勝、中ロ首脳会談、IPCC温暖化報告書、元技能実習生無罪などを話題にした。

日独政府間協議(3/18)については無視なのか、と思いきや、一週間経ってようやく1本登場した(産3/25)。

六紙社説、ウクライナ大統領演説戦争と新聞(いずれもサイト内)。「これは命に関わる話だ」岸田首相 キーウ電撃訪問は(3/21)、ロベルト・バルボンさん死去 プロ野球元阪急内野手、盗塁王―89歳(3/17)

イランとサウジの和解

イランとサウジアラビアは、断交から7年ぶりに和解することで合意。外交関係を正常化し2か月以内に双方の大使館を再開すると発表した。

日経は逸早く社説で採り上げた(経3/11)。「大産油地帯である中東の重要性は言うまでもない。この地域から原油の9割超を輸入する日本にとってはなおさら」と、もちろん経済的な視点だ。

原油のことだけではない。和解を仲介したのが中国であることにも目を向ける。「中国を介したサウジとイランの接近が、ウクライナ危機をきっかけに鮮明になった世界の分断を広げること」にならないか。イラン、サウジ、中国、それにロシアと「非西側陣営が結束を強めれば亀裂は深まる。イラン核問題の解決も遠のきかねない」と。

在京の他5紙社説は沈黙するのかと思いきや、16日以降何本か続いた。やはり「米国抜きの雪解けには懸念もぬぐえない」(朝3/16)と指摘。一つはイスラエルの出方。サウジとイランの接近で「イスラエルが再び孤立感を深めれば、さらに強硬な姿勢をとってイランと衝突しかねない」(同)。もう一つは人権問題。サウジは、人権問題をうるさく言うバイデン政権と距離を置く。「内政不干渉を重んじる中国の実利外交が歓迎された」(毎3/19)。中東での民主化の動きが後退しかねない。

原油の9割を中東に依存する「日本も戦略を練り直す必要がある」「産油国との関係をさらに強固にし、エネルギー調達が不安定化しないようにするべき」(読3/19)。後手に回る。状況に振り回される。よくあるパターンだ。

日本は、サウジ、イラン各々との関係は悪くない。友好的とも言えるだろう。だったら和解を仲介すれば良いものを、なぜそうしなかったのか。中東情勢に対する認識が足りずボンヤリしていたのか、意志がないのか、外交の力がないのか。いや、認識や意志も能力もあるけれど中国に先を越されただけなのか、それとも、米国の手前、勝手なことはできなかったのか。それを教えてくれる社説はない。

さて、3/13週の六紙社説は、そのほかに、袴田さん再審へ、習政権3期目始動、大江健三郎死去、米銀行破綻と金融不安、ガーシー氏除名、豪に原潜配備へ、放送法問題、黒海上で米露軍機接触、春闘高水準回答、国枝選手に栄誉賞、少子化対策の首相会見、日韓首脳会談などを話題にした。

六紙社説、社説の安保問題、21年なぜイタリアとイラン(いずれもサイト内)。イランとサウジアラビア 外交関係正常化で合意 中国が仲介(3/11)

WBCと放送法解釈

World Baseball Classic(WBC)を採り上げた社説を何本か目にした。数えてみると今年今日までに、在京六紙で4本もある(読2、産1、東1)。新聞と野球興行の親和性は高いとは言うものの、ちょっと騒ぎ過ぎなのでは。何か事情でもあるのだろうか、とWBCの公式サイトを覗いてみた。主催の欄に、WBC Inc. / 読売新聞社、とある。なんと、その新聞社も主催者側なのか。そりゃ社説も宣伝に使うわな。

話はがらっと替わって、放送法解釈のごたごた。高市早苗経済安保相は、かつて総務相だった時代に衆院予算委で電波停止命令をちらつかせる驚きの発言をした。実質的な脅しだ、もし政権に都合の悪い番組を流せば電波をストップさせる、と。以来、政府や政策に対する批判は鳴りを潜め、テレビは、いよいよ骨抜きになってしまった。

今回の参院予算委で取り沙汰されている総務省の内部文章には、その脅しに至る舞台裏が記されている。なぜ、今、この文書がリークされたのだろうか。おそらく、安倍、菅、両首相時代に抑え込まれていた総務省の意趣返しなのだろう。メディアが当局からの言論弾圧を受けて民主国家にあるまじき様相を呈している、この事態に危機感を抱く官僚は少なくないはずだ。

圧力や脅しに屈して来たテレビを中心とするメディアも、この際、声を上げたらよろしかろう。政権の御用メディアには成り下がらない、自由な報道を取り戻す、そして、国民に資する番組や紙面をつくる、と改めて表明してはどうか。

在京六紙のほとんどはテレビと系列関係にある。その社説が今回のごたごた騒ぎやメディア側の報道姿勢についてどう述べるか、しばらく注目しておこう。既に左派系中心に何本か掲載されている。が、ジャーナリズムの根幹に関わる重大事だ、もっと本数があって良いと思う。静か過ぎる。

さて、3/6週の六紙社説は、そのほかに、中国全人代開幕、国際女性デー、徴用工問題に解決策、H3ロケット失敗、ガーシー氏現れず、入管法改正案、黒田日銀総裁退任、大震災と原発事故から12年、などを話題にした。

六紙社説(サイト内)。大会概要|2023 WBC、高市早苗総務大臣の「放送法違反による電波停止命令を是認する発言」に抗議し、その撤回を求めると共に、政府に対し報道・表現の自由への干渉・介入を行わないよう求める会長声明(2016/2/16)|東京弁護士会、総務省内部文書の要旨(3/8)

林外相のG20出席を阻んだ者

林外相が、インドで開かれた主要20か国・地域(G20)外相会合を欠席した。参院での予算審議の優先を求めた参院自民党と立憲民主党の意向を踏まえたと報じられた。

ロシアによるウクライナ侵略をはじめとする国際情勢が激動する状況下、今年G7の議長国を務める日本の外相がG20への出席を見送るとはどういうことか。

社説も当然意見する。「与野党の判断には、失望を禁じ得ない」(読3/2)、「政府と国会の見識を疑う」「国益を損ねる判断というほかない」(産3/2)、「硬直的な国会の慣例にとらわれて国益を損なう事態を二度と起こしてはならない」(経3/5)。

憲法63条には、閣僚の議院出席の権利と義務が定められている。それに、衆参の予算審議では基本的質疑の間は「全ての閣僚が出席するのが原則」と1999年に与野党の国会対策委員長が申し合わせた(経2/28)。そうであればこそ、G20会合の日程は1月には判明していたのだから、より適切な「日程調整のあり方」(読3/2)があったはず。「政府と国会の判断は、世界に対する責任を果たさないものだ」(産3/2)、その苦情に反論はできまい。

3日の「政界地獄耳」は自民党内の声を紹介している。「林を止めたのは野党や憲法の縛りではなく」、自民党の世耕弘成参院幹事長が「理屈で押し切った」と。「衆院で予算が上がり、参院が軽視されることを嫌った世耕のプライド。参院から衆院に鞍替えした林への嫌がらせ。世耕も衆院鞍替えを模索したがうまくいかない八つ当たりとも」。

実の所、原因は一人の人物の思惑にあり、その動機は、プライドや、嫌がらせ、八つ当たりだったりする。世間一般によくある話だ。ただ、今回の参院幹事長の件では、徳の高い方ではないのだろうか、容赦なく書き立てられてしまった。あの人は私情で国益を損ねた、と皆の記憶に留められることになる。

さて、2/27週の六紙社説は、そのほかに、自民党大会、中国の停戦案、死後再審、学術会議と政府、出生数80万人割れ、五輪談合起訴、新宇宙飛行士、韓国大統領の演説、諫早湾非開門で決着、中学教員刺傷、放送法巡る内部文書などを話題にした。

六紙社説(サイト内)。日本国憲法第63条|Wikipedia、政界地獄耳「参院のメンツを立てて国益を損ねた?」(日刊スポーツ、3/3)、自民・世耕氏「外務省からどうしても出たいと説明なかった」林外相のG20外相会合欠席巡り(日テレNEWS、3/3)

三菱重工旅客機撤退

三菱重工がジェット旅客機の開発を断念。22日に毎日新聞が社説を掲載した。これで在京六紙の社説が出揃った。

「致命傷は、TC取得のノウハウが無かったことだ」(東2/10)。TCとは機体の安全性などを証明する型式証明のこと。「技術だけでは事業化には至らないというのも、今さらではあるが重要な教訓だ。だが、果たして技術力そのものも十分だったのか」(朝2/14)

「自力で航空機全体を設計・製造する能力は不十分だった」(読2/14)。「自前の技術を過信し、海外の先進技術を取り込むことに慎重すぎた」(産2/15)

「歴代経営陣の責任は重い」「問題なのは、弱点を認識して早期に対処するという基本動作を怠ったことだ」(毎2/22)。本社・三菱重工と事業会社・三菱航空機との間で「主導権争いもあったとされる」(経2/10)

開発ノウハウ、技術力、それに経営陣の力量、どれもこれも足りない、と断ずる。各紙とも手厳しい。

その矛先は、本事業に5百億円もの血税を投じた国にも向けられる。「官庁には、有望な技術を見極める能力が欠けているという自覚が求められる」(朝2/14)と。ま、確かにそうなんだろうけれど、そう言う新聞はどうなんだ。

例えば、各紙社説は、W杯カタール大会で16強止まりだったサッカー日本代表に対して、ダメだったけれどよく頑張ったね、と手放しで称賛した。これは、良くて16強、優勝なんてあり得ないと最初から見限っていたからだ。

国産旅客機開発の失敗に対しては、どの社説も、ダメだったけれどよく頑張ったねとは言わない。これは、成功するものと勝手に決め付けていたからだろう。「有望な技術を見極める能力が欠けている」のは、官庁だけでなく新聞も、ということだ。

さて、2/20wの六紙社説は、そのほかに、北朝鮮のICBM、立憲民主党大会、米中外交トップ会談、商工中金改革、竹島の日、ガーシー氏処分、原子力規制委の議論、露ウクライナ侵略1年、核軍縮の停止、はだしのゲン、沖縄北部の無人島、マイナンバーカードの普及、日銀総裁候補の所信などを話題にした。

六紙社説、サッカー日本、戦い終えて(いずれもサイト内)

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