吉岡幸雄(染色家)
- 2020/03/23 07:05
- カテゴリー:工芸・美術
材料を惜しまない、時間は十分にかける、辛気臭く、のろくやるということですな
NHK映像ファイル「あの人に会いたい」吉岡幸雄の巻(総合、3/21 5:40)から。去年亡くなられたんだな。1946-2019年。以前「日めくり万葉集」(08年)では選者として染色にまつわる何首かを紹介していた。その中で特に印象に残っているのは、作者未詳の、紫は灰さすものそ海石榴市の八十の衢に逢へる子や誰(巻12-3101)。
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材料を惜しまない、時間は十分にかける、辛気臭く、のろくやるということですな
NHK映像ファイル「あの人に会いたい」吉岡幸雄の巻(総合、3/21 5:40)から。去年亡くなられたんだな。1946-2019年。以前「日めくり万葉集」(08年)では選者として染色にまつわる何首かを紹介していた。その中で特に印象に残っているのは、作者未詳の、紫は灰さすものそ海石榴市の八十の衢に逢へる子や誰(巻12-3101)。
今回はクラシック音楽ではなく、趣きをがらっと変えて、和歌それも万葉集から好きな歌を十選した。百年、千年経っても、人は、仕事で悩み、恋に嘆き、人生を憂う。
今朝、「働きすぎなければよかった」云々の件を書いた。それに関して、今日一日、思い返していたことが二つほどある。まず一つ、
働くために生きているのではなく、生きるために働いているということを肝に銘じる必要がある。とは言うものの、二十年三十年と働くのであるから、仕事は質の高いものでなければならない
以前ここでも採り上げたことがある、政治経済学者 Robert B. Reich 氏(1946年-)の発言だ。何かのドキュメンタリー番組(02年)で語っていた。テロップに、第一次クリントン政権の労働庁長官とあった。もう一つは、山上憶良、最晩年の短歌(万葉集巻6-978)、
士やも空しくあるべき万代に語り継ぐべき名は立てずして
身を立て名をあげんと努めて来たけれど、果たせずにおれの人生は終わってしまう、憶良の嘆きは深い。後世に不滅の名を残した歌人がこう詠んだことを何と思えば良いのだろうか。
# 5つの後悔(サイト内)
先日、「日めくり万葉集」に触れた。全240回の出演者や、選ばれた歌が一つのファイルになって手元に残っている。それを表計算に取り込んでソートしてみた。
5回以上出演している選者の方は、順不同、敬称略で、リービ英雄、奥村彪生、岡井隆、吉岡幸雄、絹谷幸二、小泉武夫、小島ゆかり、中西進、田辺聖子、馬場あき子、里中満智子、林望。4回には、ドナルド・キーン氏の名もある。
選ばれた歌に目を向けて、数多く登場する詠み手を拾ってみよう。大伴家持(31回)と柿本人麻呂(20回、柿本人麻呂歌集よりを含む)は順当として、第3位に着けているのは、山上憶良(14回)。次は、大伴旅人(7回)。そして、6回に、額田王、山部赤人、高市黒人の名が並ぶ。なお、複数回選ばれた歌が17首ある。ほとんどは二回止まりの中で、唯一、三回登場するのは、新古今集にも採られたあの歌だ(山部赤人、巻3・318)。
田子の浦ゆうち出でて見ればま白にそ富士の高嶺に雪は降りける
# 田辺聖子さん死去(サイト内)、日めくり万葉集 - Wikipedia
訃報に接して、ずいぶん前に観た何かの番組を思い出した。そのテレビ番組で万葉の歌について語っていた。最近も、と言っても既に十年は経つが、「日めくり万葉集」(NHK、08年)に選者として何回か出演していた。メモを繰ってみると、正確には5回だった。シリーズ全240回の内、5回の出演は多い方だった。選ばれた五首を載せておこう、すべて相聞。一首目の旋頭歌が面白い。
読もうと思って図書館から借りて来ている本何冊かの中に、たまたま、田辺聖子著が一冊まじっている。「言い寄る」だ。次はこれを読むことにしよう。