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キーワード「野呂邦暢」の検索結果は以下のとおりです。

鈴木敏夫、あの人の本棚

AとB、対立があるとして、普通はどっちの見方するってなるけれど、そうじゃない、それを見ている第三の立場がある。大事なことは、ことの本質はどこにあるのか、それだと思う。

堀田善衛著「広場の孤独」に関してそんなコメントがあった。

「心おどる あの人の本棚」(5)「鈴木敏夫(映画プロデューサー)」から。

書棚に、野呂邦暢の著作が何冊か並んでいた。「諫早菖蒲日記」「王国そして地図」「小さな町にて」「丘の火」、そして「猟銃」。

あの人の本棚野呂邦暢(いずれもサイト内)

失われた兵士たち

  • 2024/03/13 06:00
  • カテゴリー:読み物

一つの時代を後世の価値観で裁くことは、私たちがおちいり易い錯誤である。国家に殉じることが、最高の名誉とされた時代もあったのである。反戦を叫ぶ現代の日本人が一時代前に戦って死んだ人々よりもすぐれていることにはならない。

野呂邦暢著「失われた兵士たち-戦争文学試論」(文春学藝ライブラリー、2015年)から引用した(p26)。作者唯一の評論。

「文学論というより、一種の書誌的論考」とあとがきで記されている。「戦争文学の枠をとりはずし、ドキュメントや手記のたぐいをも紹介することで、日本人が戦った戦争とは何であったかを考えてみた」(p450)。

万葉集をぱらぱらと見ることがあって、そんな折、「現代の日本人が一時代前」どころか古代の人たちに比べても「すぐれていることにはならない」と思ったりする。この野呂の評論や戦争文学とはまったく関係のない話なのだが。

例えば、「我妹子が額に生ふる双六のこと負の牛の鞍の上の瘡」(巻16-3838)という、わけのわからない歌がある。意味不明の歌をつくれる者に褒美をとらす(或有作無所由之歌人者賜以錢帛)、その問いかけに応じて献上されたのだとか。千数百年前にそんなユニークでナンセンスな言葉遊びに興じる人たちがいた。今の人が古い人より優れているなんて決して言えない。

昭和史百冊野呂邦暢(いずれもサイト内)。万葉百科|奈良県立万葉文化館

昭和史百冊

  • 2024/02/01 06:08
  • カテゴリー:読み物

マイクからの「洗脳」はいまだに残り、形を変えては今も続いているのではないか、と慄然とさせられる。

ラジオや、テレビ、紙誌、様々あれど、鵜呑みにするのは危険だ。どれほど媒体価値が高くても。引用は、平山周吉著「昭和史百冊」(草思社、2023年)から(p34)。

紹介されている本2冊、図書館に予約を入れた。沢木耕太郎「天路の旅人」(p180)、野呂邦暢「失われた兵士たち-戦争文学試論」(p301)。

落城記(サイト内)

1945年8月8日・長崎

  • 2022/03/19 06:29
  • カテゴリー:読み物

新聞紙に移した干しうどんを選り分けていた。大事に仕舞い過ぎてでた青黴を削ぎ落すために。

いつもとかわらぬ日々の暮らしがある。明日何が起こるかを人々は知らない。引用は、井上光晴著「明日」(集英社、1982年)から(p119)。副題は、一九四五年八月八日・長崎。本書のことは、深谷考著「野呂邦暢、風土のヴィジョン」で知った。

登場する施設名、例えば、浦上第一病院、浦上刑務支所、長崎医大、附属病院、城山国民学校、鎮西学院など、どれも意図して選ばれている。被災地図を見て愕然とした。

ピークとは何か(サイト内)。長崎原爆の物理的被害|長崎大学原研

落城記

  • 2022/02/17 06:38
  • カテゴリー:読み物

もしかしたらとわたしは思う。盥はすべてを映す。わたしが身をひけば盥の影は消える。この世に生きるということは、つかのま盥の水にわが影を投げることではないのか。

腹違いの兄を殺し自分も跡を追う、「死を怖れていないつもりでも実は怯えていた」。生も死も自身で決められる。梨緒は水に映る自分の姿を見てそのことに気付く。迷いは去り心の安らぎを得たのだった。野呂邦暢著「落城記」(文藝春秋、1980年)から(p171)。

著者の「諫早菖蒲日記」と同じく諫早を舞台とする歴史もの。菖蒲日記の方は、幕末動乱が背景。この「落城記」はさらに二百数十年遡り、時代は豊臣秀吉の世。西郷家歴代分限帳や伊佐早図誌などの文書を焼く挿話(p89)は、時を経た二つの物語を繋ぐかのようだ。

野呂邦暢(サイト内)

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