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検証尖閣問題

  • 2020/12/25 06:19
  • カテゴリー:読み物

背景には、自衛隊は中国軍に勝てるという日本人の思い込みがある。

日本のイージス艦は優秀なんだろうけれど、一度、軍事紛争が起これば、海軍どうしが戦うだけでは済まない。戦闘機がやって来る、ミサイルが飛んで来る。引用は、孫崎享編著「検証尖閣問題」(岩波書店、12年)から(p45)。以前に書いたように、中国の中距離ミサイルは、航行中の船舶を精密に攻撃できる。それに比べれば、自衛隊の基地や在日米軍の滑走路を標的にすることはそう難しことではない。

尖閣問題が話題になった日中外相会談に関して政府やメディア双方が弱腰云々と先月ここに書いた。果たして弱腰と決めつけて良いものなのだろうか。そう考え直した理由は、尖閣問題は棚上げにすると日中政府間で合意した、そんな話があったことを思い出したからだ。六紙の社説(11/26-28)を読み返してみたがいずれもその合意には触れていない。ただ、中国の外相「王氏は事態を複雑化させる行動を双方が避けるように求めた」(毎日、11/26)は、中国が日本に対して棚上げを守るよう要請していると読める。日本政府やメディアはもちろん棚上げの合意を忘れてはいないだろう。それを無視して強気に出たいところだがそこまで破廉恥になれない。それが弱腰に見える原因ではないのか。あらためて日本政府の見解や、web上の様々な情報、そしてこの孫崎享編著「検証尖閣問題」などを読んでみた。

どうも情報が操作されているニオいがする。政府やメディアの言い分に惑わされないように留意したい。ここでは、気掛かりな点をいくつか並べるに留めておこう。1) 本件の大前提として、ポツダム宣言や、カイロ宣言、サンフランシスコ条約はどのように理解されているのか。2) 本件に中立であるはずの米国、バイデン新政権含む、が尖閣諸島も日米安保条約第5条の対象であると時々言う意図は何か。3) もし本件で日中の軍事紛争となった時、日本は、増強著しい中国軍とどう戦うのか。4) 米軍はすぐに参戦して来るのか。この最後の二点を慎重に精査する必要がある。さらに加えると、5) 周恩来首相と鄧小平副首相が提言し、田中角栄首相と園田直外相が同意した棚上げは今もその精神が生きているのか。6) 日本による国有化の宣言(12年)はその合意にどう影響したか。7) 日経の社説(11/27)にあった「真相不明の日本漁船」とはいったい何なのか。そして、8) 日本政府は軍事衝突を避けるためにどのような外交努力を展開しているのか。

尖閣問題、日中外相会談二つのミサイル(いずれもサイト内)。尖閣諸島についての基本見解|外務省。尖閣付近の「正体不明の漁船」とは何か。メディアが中国外相発言を追求しない理由

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