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新薬の狩人たち

  • 2021/04/27 06:58
  • カテゴリー:読み物

科学の世界ではしばしば、何かについて研究し始めた科学者が、別のなにかに思いがけず出くわしたことで非常に重要な発見がなされることがある。

ワクスマン(Selman Waksman、1888-1973)は、農作物の収穫量を改善するために土壌微生物を研究対象とした。それが結核治療薬ストレプトマイシンの発見に繋がる。引用は、ドナルド・R・キルシュ、オギ・オーガス「新薬の狩人たち-成功率0.1%の探求」寺町朋子訳(早川書房、2018年)から(p147)。Honzの紹介記事で本書のことを知ったのは3年前。ようやく図書館から借りて来て読んだ。

巻末に大部な原注がある。出典の文献を記す程度のものではなく、関連するやや専門的なエピソードが丸々記されているそれらは、おそらく編集段階で選別され後ろに回されたのだろう。それにより、本文は煩雑さから免れて、著者の意図するところが明確に浮かび上がっている。

かつて新薬の探索に携わっていたこともあって、類書は少なからず読んで来た。それらに比べて、本書は出色の出来だと思う。解説に「本書は、この分野の金字塔」とあるのは決して大袈裟ではない。

# 合理的設定より個人の芸術的手腕(p263)。『新薬の狩人たち』創薬-人類最難の事業に挑む|Honz。TeixobactinBIA 10-2474ラッセル・マーカー|Wikipedia。Marker Degradation: Creation of the Mexican Steroid Hormone Industry

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