W杯外交と神経剤
- 2018/07/05 21:33
- カテゴリー:興行・放送
英南部エームズベリーの住宅で倒れ重体になった40代の英国人男女2人から、神経剤「ノビチョク」が検出されたことが4日分かり、英社会に衝撃を広げた。
2018/7/5 19:00 日経速報ニュース「再び神経剤に衝撃 英2人重体、接触経緯は不明」から。このノビチョクという猛毒は、3月に起きた元ロシア・スパイらへの暗殺未遂で使用された。この事件では英政府がロシアの関与を断定し、欧米諸国が協調して対ロ制裁を発動した。
英国で起きたロシア人元スパイ暗殺未遂事件も響いている。ロシアが関与したとして英政府は王室や閣僚を派遣しないと表明。アイスランドやポーランドも続いた。制裁でロシア外交官を追放した29カ国のうち、W杯出場国は10カ国。
これは、2018/6/10 日本経済新聞朝刊「サッカー・ロシアW杯開幕(14日)―プーチン氏、国威発揚狙う」から。記事にある10か国というのは、仏、独、ポーランド、デンマーク、スペイン、豪州、スウェーデン、クロアチア、ベルギー、そしてイングランドを含む英国のこと。
その10か国の内、5か国が8強に残っている。対ロ制裁している国は、10/32 から、5/8 に濃縮された。残りの3か国は南米のブラジルとウルグアイ、そして当事国のロシアだ。ロシアは、準々決勝(7/7)でクロアチアと対戦し、それに勝てば、スウェーデン-イングランド戦の勝者と当たる。いずれも対ロ制裁の国々だ。さらに勝ち進めば決勝で、仏かベルギーとの対戦もあり得る。
マクロン仏大統領などは「自国が勝ち進んだ場合の観戦訪ロに意欲を示す」とも伝えられ、プーチン政権としては、W杯外交で融和を図ろうと食指を動かしたのだろうが、ノビチョク再来とあっては思惑は外れるか。国際的な孤立感を、益々、深めることになるのかもしれない。