エントリー

悪人

今まで生きとるかも死んどるかも、よお分からんかった。

祐一(妻夫木聡)が吐き出すように言う。李相日監督の映画「悪人」(2010年)から。吉田修一著原作。いい役者が揃った、特に光代に扮する深津絵里がたいへん良い。

色んな人が「悪」を口にする。舞台となった九州の言葉で。「おまえは悪なか」「あんたが悪かわけじゃなか」「わたしのせいね」「悪かことしたと思とるさ」「太か(悪か)人間に育ててくれたよ」「あまえが悪いって言うたがありゃ間違えとった」「あの人、悪か人じゃなかと」「うちが悪かと」「あの人は悪人なんですよね」。

各々の自覚もあれば、他人からの評もある。誰一人として清廉潔白な者はいない。一人一人の小さな悪意が積み重なって、知らず知らずの内に大きな「悪」に育って行く。それがいつかどこかで姿を現す。

日の出を見る最後のシーンでも流れる音楽はオリジナルだろうか。何かに似ているような気がする。そうそう、ブラ4(ブラームス作曲交響曲第4番)だ。第1楽章の第1主題。この映画の音楽担当者を確認した。ああ、その人か。他人の作品に取材したとしても不思議じゃない。ここにも小さな悪意が潜んでいるかもしれない。

ABEMA(サイト内)。悪人 (小説)|Wikipedia、オマージュ・パロディー・パクリ、五島市福江島の大瀬崎灯台、クライバー(WPh、1980年)、ラトル(BPh、2008年)

ページ移動

ユーティリティ

« 2025年03月 »

- - - - - - 1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30 31 - - - - -

検索

エントリー検索フォーム
キーワード

新着エントリー

Feed