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ライジング若冲

先生、まだまだ至らん私に教えてください。

伊藤若冲(中村七之助)が言う。それに対して、寿命を迎えようとしている売茶翁(石橋蓮司)は、「私に教えることなどない。只々感じ入るばかりや」と応える。

NHKの時代劇「ライジング若冲-天才かく覚醒せり」から。

もはや水準を越えている者が、「まだまだ至らん私に教えてください」と言う。心の叫びを聞くようでこちらの心も揺さぶられた。芸の道は長く厳しい。その深淵に臨み、美の本質を探究する。一流の者が超一流を追い求める。

それに、ここに謙虚の一つの形があるように思った。自分の能力に驕ることなく師や芸に接している。どこまで達しており、出来ないことは何なのか、まだ見えないものがある、と自身の能力を正当に評価した上で、さらに高みを目指す。己をしっかりと見据え、自信を持っていないと謙虚にはなれない。へりくだれば良いというものではない。

例えば、自分は素人ですと何度も言う人がある。その筋で長い経歴があり、そこそこ事情に通じているのに、素人、つまり今始めたばかり、ゼロ、そんなはずない。謙遜しているだけなのかもしれないし、予防線を張っているのかもしれないけれど、同じ言葉を繰り返されると嫌味でしかない。同じ領域にいる人たちは不快に感じるだろう。

潔く「まだまだ至らん私に教えてください」と言えるようになりたいものだ。

謙虚(サイト内)。時代劇「ライジング若冲 天才かく覚醒せり」完全版【作・演出】源孝志(NHK総合、11/2 15:05、初回放送2021/1/2)

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