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ホンダ日産破談

両社の経営陣のビジネス交渉における稚拙さを感じざるをえない

自動車業界に詳しいアナリストの言葉をNHKの記事(2/13)が伝えている。稚拙さとあるけれど本当にそう言ってしまって良いのだろうか。なにせ売上高10兆円を超えるメーカーを率いている経営者だ。間抜けでは務まらない。

株式会社日本の儲け頭、自動車産業の二番手と三番手が統合の協議を進めていた。経営難に直面する日産に対して、まだ余裕のあるホンダが完全子会社化を提案したところ、日産の高いプライドがそれを容れられず、統合話は御破産になってしまった。

この件を採り上げた、在京六紙の社説を見てみよう。

「危機感欠く日産とホンダの協議打ち切り」(経2/7)。日産の意思決定の遅さはつとに指摘される。が、「ホンダも強硬姿勢に出る前に、もう少し丁寧に妥協点を探れなかったのだろうか」。

「ホンダ・日産破談 統合せず生き残れるのか」(産2/7)。「両社経営陣は」「どうやって世界市場で戦うかについて説得力のある戦略を示すべきである」。

「ホンダ日産破談 大変革期に挑む覚悟足りない」(読2/14)。現状認識の甘すぎる日産に対して「ホンダ側も事前にもっと丁寧に意思疎通を図るべきではなかったか」。

「ホンダ・日産の破談 生き残りの展望見えない」(毎2/15)。危機的状況にある日産は再建策を打ち出せない。「一方のホンダも、統合の相乗効果を発揮する戦略を提示できていたとは言いがたい」。

と、多くは日産ホンダ両社を難じる。ダメな日産を救済するために、ホンダはもうちょっと上手くやるべきだった、と言うわけだ。が、日産を見限る声もある、

「ホンダとの統合破談で急務の日産再建」(経2/15)、将来に「描くべき成長戦略が見えてこない」。「ホンダとの破談 日産は現実と向き合え」(東2/13)、「もはや現経営陣による企業統治は限界だ」。

その東京新聞の社説は、「経営統合計画自体に無理があったのではないか」とも書く。巨額の社債償還の期限が迫る日産には時間的余裕はない。ホンダは、そんな日産の負債を背追い込むと共倒れしかねない。そうなっては元も子もない。

ホンダは、稚拙と評される交渉の果てに、比較的、無難な道筋を選んだのかもしれない。

統合の協議を進める中で、互いに相手を深く知るようになった。ホンダは日産の余程の惨状を見たのではあるまいか。そこで、この話をなかったことにするために一計を案じる。完全子会社の話を持ち出せば、日産のプライドはそれを決して許さない。頭に血が上って断って来るに違いない。これならば、統合に賭けるホンダの真剣さは世に伝わるし、日産のメンツもある程度は保てるだろう。

その辺りが真相では、と邪推してしまう。

朝日新聞は、本件について社説で意見していない。今日までのリストを、あらためて、眺めてみたが、やはり、見当たらない。同紙1面の名物コラム「天声人語」(2/14)には登場していた。おや、と「相手に疑問を覚え」て、恋が冷めてしまった、とある。

さて、2/10週の六紙社説は、そのほかに、米WHO脱退、PFAS基準、備蓄米放出、米露のウクライナ停戦交渉、国民民主党の役割、高額療養費、米中AI開発、サイバー防御、オンライン賭博、トランプ関税、などを話題にした。

六紙社説、ホンダ(サイト内)。【詳しく】ホンダ 日産 経営統合協議を打ち切り 両社の課題は(2/13)、歴史的な経営統合 なぜ破談?その先は?(2/14)|NHK

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