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叔母が姪に遺したもの (4)

帰省先から沖縄へ戻ったその夜、従弟へ連絡した。その日の朝から昼にかけていくつか電話をかけた、それによって判ったことなどを伝えた。

大叔母さんが亡くなり、負の遺産を遺した可能性がある。相続権が、その人の姪である私の母やあなたの母親へ移って来ている。母親二人は、相続放棄するつもりであることを今日確認した。今後、その手続きを進めることになる。と事情を説明し、この作業に参加してもらうことになった。

私の母と彼の母は姉妹だ。二人が同時に相続放棄を手続きすることにメリットがある。家裁の説明文にこうある、「重複する(共通する)戸籍謄本については、各1通で結構」と。具体的には、今回手続きの際に添付する資料4通の内3つまでは共通なので、残る一つを姉と妹の分、各々用意すれば良い。合計5通で、二人分の手続きができる。

その5通の内訳は、戸籍謄本4通、戸籍の附票1通。それらは、どの街に請求すれば良いかは、ほぼ、判っている。あとは粛々と取り寄せの作業を行い、申述書を書き、家裁へ送付する、ということになるのだが、さて、実作業を、誰が、行うのが良いだろうか。

90歳に手が届く母らに相続放棄の手続きは荷が重い。息子の我々が代わりにすべきであることはわかっている。従弟に頑張ってもらうか、自分が数日また本土へ行って全て済ませて来るか、それとも、もう一つの手として、私の兄に頼むかだ。

申述書を送付するまでの一連の作業を考えると、母の近くに住む兄に託すのが一番なのだけれど、ちょっと躊躇う気持ちもある。と言うのは、

事の発端である納税通知書が東の街から届いた時、母は長男である兄にまず相談した、こんなものが来たけれどどうすべきかと。兄は、放っておいたら良いと言ったらしい。そうは言われたものの、母としては気になる。東の街へ電話をかけて、亡くなった叔母の代わりに税金を払うつもりはないと断った。それでも、ずっと心に引っかかっており、私が帰省した折に納税通知書を取り出して来た。母が東の街へ電話してから2か月が経過していた。

母から打ち明けられて、私は東の街へ電話をかけた。大叔母の分の納税通知書が母に届いた理由は、相続の先の順位の方が相続放棄したため、ということが判った。相続放棄した方がいる、ならば、ほかに負の遺産がある、と考えねばならない。それで、母も相続放棄することになった。

戸籍謄本の取り寄せなど実際の作業を、兄に頼むかどうか迷う。なにせ、届いた納税通知書を見て、放っておいたら良いと言った張本人だ。さあどうする。

まだいくつか確認したいことがある。それを済ませてから実作業のことは考えよう。第1日目はここまでで終わり。つづく

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