ひとごろし
- 2020/04/21 06:27
- カテゴリー:読み物
「なにしろその、道に落ちている財布を拾う、というようなわけにはいかない問題だからね」「お拾いなさいよ、道にはよく財布が落ちているものですわ」
妹にそうけしかけられた六兵衛は、自他ともに認める臆病者。それが、道に落ちていた財布を拾うかのように、上意討ちの討手に「つい」名乗り出てしまう。新潮現代文学17巻「山本周五郎」(新潮社、79年)に収載された「ひとごろし」から(p378)。
青空文庫を訪ねてみると本編はそこにもあった。ファイルの末尾に、2020年1月24日作成とある。つい最近のことだ。山本周五郎(1903-1967)の作品は、没後50年経た翌年の2018年からパブリック・ドメインとなり、文庫への収録が始まったのだろう。なお、その年の末にTPPが発効され著作権の保護期間は70年に延びた。1968年に死没した作家、例えば子母沢寛や広津和郎ら、の著作権が切れるのは、2019年ではなく2039年となった。三島由紀夫は2041年。
# 寒橋、TPP 発効と著作権(いずれもサイト内)、山本周五郎著「ひとごろし」青空文庫