夢幻花
- 2019/02/26 06:11
- カテゴリー:読み物
子供は親の夢を叶えるために生きているんじゃない。
では、人はそもそも何のために生きているのか、この本はそういう問い掛けをしているのかもしれない。東野圭吾著「夢幻花」(PHP文芸文庫、16年)から(p332)。緻密な構成はさすがだが、爽やか過ぎて物足りなさを感じたのは、著者の「白夜行」と「幻夜」を立て続けに読んだ後にこれを手にしたからだろうか。
# 負の遺産、才能 ≠ 知識があって器用
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子供は親の夢を叶えるために生きているんじゃない。
では、人はそもそも何のために生きているのか、この本はそういう問い掛けをしているのかもしれない。東野圭吾著「夢幻花」(PHP文芸文庫、16年)から(p332)。緻密な構成はさすがだが、爽やか過ぎて物足りなさを感じたのは、著者の「白夜行」と「幻夜」を立て続けに読んだ後にこれを手にしたからだろうか。
# 負の遺産、才能 ≠ 知識があって器用
ここの機械はどいつもこいつも癖があるからよ、俺でなきゃ使いこなせねえはずなんだ
東野圭吾著「幻夜」(集英社文庫、09年)から(p187)。「白夜行」の第二部といわれる話。冷酷な女、美冬の正体は、「白夜行」の雪穂だ、そう仄めかすヒントが随所に散りばめられている。この本もまた辞書のように分厚い。
江崎玲於奈がエサキダイオードの発明でノーベル物理学賞を受賞することが決定して
などのように、実際に起こった出来事が折々に綴られ、20年にも及ぶ物語の時間尺度になっている。東野圭吾著「白夜行」(集英社文庫、02年)から(p64)。文庫本で8百ページを超える大部な小説。ぐいぐいと読まされてしまい、へとへとになる感じ。
江崎博士がノーベル賞を受賞したのは1973年だ。その時、主人公は小学校5年生。おれも同じく小5だった。その年の担任だった中村先生は、江崎博士のことを大いに称賛しつつ、君たちもノーベル賞を目指すようなエラい学者になるには、これぐらいは読んでおかねばならない、と何冊かの書名を黒板に書いた。ファラデーの「ロウソクの科学」などだった。これを読みさえすればノーベル賞が取れるのだとばかり一生懸命に読んだものだ。小学生のかわいらしい勘違いだった。
# 高脂血症治療薬「メバロン」(p642)
アドバイスし続ける。はやまるなよ、と。
最後の最後にそうあるのは、東野圭吾著「夜明けの街で」(角川文庫、10年)。こわいこわい不倫の話だ。おれも、盟友 M に「はやまるなよ」とよく言ったもんだ。もちろんそれは仕事がらみのことで、不倫や離婚などとはまったく関係なかったのだが。
実績を大袈裟に伝える報道を目にして、不快になったのだろう。ヒーローめいたものをマスコミが作りだせば、反発する人間が出て来るのは世の常だ。
東野圭吾著「ガリレオの苦悩」(文藝春秋、08年)から(p254)。ガリレオシリーズ第4弾の短編集。新キャラクター内海薫刑事が初登場する。図書館に予約した次の長編が届くのを待つ間これを先に読んだ。
帯を見ると、短編各話から文章が一つずつ抜き書きされている。最初に引用しようと思った個所はそこに含まれていた。上には別のところを引用した。帯は、たいがいの場合、文字がある部分が丁寧に切り取られ見返しに貼り付けられている。これならば、表紙(カバー)の全貌が眺められるし、帯に記載されていることも読むことができる。沖縄に移り住む前に利用していた区立図書館では、帯は元ある場所そのままに保護フィルムで表紙やカバーと一体化されていたものだが。