Re: 風の影
- 2021/05/15 06:31
- カテゴリー:読み物
いつものとおり、物語がはじまるよりまえに、事の結末はすでにきまっていた。はじまったときは、もう手遅れなのだ。
カルロス・ルイス・サフォン著「風の影」(集英社文庫、2006年)から(下巻、p48)。
ほかにも書き留めておきたい箇所は少なくない。特にフェルミン・ロメロ・デ・トーレスが頻りにアフォリズムを口にする。例えば、ばかと悪人はちがう「悪いやつには特定のモラルと、意図と、ある種の思考性が前提にある。ばかな人間、つまり野蛮な人間は、じっくり考えたり、論理的に思考することをしない」、本能だけで行動する動物と同じ。自分はいつも正しいと思っている(上巻、p258)。
フリアン・カラックスの科白からも一つ、「本は鏡と同じだよ。自分の心のなかにあるものは、本を読まなきゃ見えない」(上巻、p357)。
# 風の影(サイト内)。ヴォルテール著「カンディード」