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ベルトラッキ贋作事件

絵を買うのは、教会に通うのに似ている。信じるかどうかだ。
 
美術贋作師ヴォルフガング・ベルトラッキはそんな風に嘯く。騙される方は、たまったもんじゃない。ハインリヒ・カンペンドンク作「少女と鳥」や、モイズ・キスリング作「モンパルナスのキキ」が取材対象になっていた。各々、二つの施設、高知県立美術館、山田養蜂場本社ギャラリーが偽物をつかまされる。
 
NHKの「未解決事件」File.07「ベルトラッキ贋作事件」(11/22)から。
 
別の贋作者、ジョン・マイアットのことを思い出した。こちらも、稀代の贋作師による世紀の贋作事件、と世を騒がせた。2010年に、彼の事件を題材にしたドキュメンタリーを観た時のメモが残っている。
 
服役を終えシャバで暮らす彼は、撮影するカメラの前でピカソ風の絵をさらっと描いてその見事な腕前を披露する。描いた絵を破り捨てこう言う。「満足できるピカソを一点仕上げようと思ったら、10点描かなければならない。10点描いたら2点取っておいて、8点は破り捨てる。ピカソ自身もそうだった。画家は上手く描ける時もあるが思い通りに描けないこともある。何かが違う、それを繰り返してやっと気に入った作品が描ける」と。
 
マイアットとベルトラッキ。一人は、ピカソやモネなど有名どころに真っ向から挑む。もう一人はカンペンドンクやキスリングなど、ややマイナーな画家の、それも目録では失われたとされる作品を、作風を似せて創り出す。狙いは異なるが、観察眼、手先の器用さ、タッチやストロークなど描写力、二人の腕前は相当なものだ。
 
未解決事件われらが痛みの鏡(いずれもサイト内)。「未解決事件」File.07「ベルトラッキ贋作事件」(NHK総合、11/22 22時)、「贋作の迷宮〜闇にひそむ“名画”」(NHKデジタル衛星ハイビジョン、2010/1/17、22時)、Wolfgang Beltracchi(1951-)、John Myatt(1945-)

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