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知的ヒントの見つけ方

  • 2020/04/06 06:51
  • カテゴリー:読み物

どことなく映画を二度見している時のような感覚に何度も襲われてしまう。

還暦までとは違い、年を取って暦も二巡目になるとそんな風に感じるものなのだとか。立花隆著「知的ヒントの見つけ方」(文春新書、18年)から(p5)。月刊誌「文藝春秋」の巻頭随筆(14-17年)などから成っている。著者の博覧強記ぶりには驚かされる。

「戸塚洋二さんのこと」の項(p37)に、20インチ光電子増倍管ことが出ている。これを開発したのは、上場を果たす前の、浜松ホトニクス社だ。その会社のことは学生時代から知っていた。菅島の臨海実験所へ出かける度、皆さんが口にする社名をよく聞いていたのだ。特殊な顕微鏡や様々な光学機器を使っていた関係でその会社と行き来があったようだ。博士課程のIさんは、浜ホトと略して呼んでいた。生化学のみならず物理学にも造詣が深いそのIさんが、将来伸びる良い会社です、就職先にどうですかと、しきりにすすめてくれた。色々と熱く語ってくれたけれど、畑違いのおれはさっぱり興味が湧かない。記憶に残ったのは、飛騨の山奥で大プロジェクトが動いているということだけだった。それから何年か経ち、化学メーカーに勤めていたおれは、たまたま手にした科学誌で、カミオカンデに関する記事を読んだ。あ、これが飛騨の山奥のプロジェクトか、と遅ればせながら知ることになった。ノーベル賞級の研究に、浜ホトが多大な貢献をしたとある。こっちに就職しておけば良かったかなとその時ちらっと思ったものだ。実際にノーベル物理学賞を小柴氏が受賞するのは、さらに十数年後のことだった。

# 問うに落ちず語るに落ちる、怖(お)めず臆せず、恬淡、陥穽、20インチ光電子増倍管開発ストーリーウニハンドブック(サイト内)

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