久生十蘭著作十選
- 2020/07/18 17:31
- カテゴリー:読み物
緻密に考えた計画はむしろ邪魔なので、その場の情況に応じて咄嗟に断行するといった伸縮性のある方法のほうが、成功の公算が多いのではあるまいか。
藤井七段が渡辺棋聖を降した、第91期棋聖戦五番勝負のことを言っているかのようだ。引用は、久生十蘭著「無月物語」から。強行策を算段する場面。
今回のシリーズ十選は、小説の魔術師、久生十蘭の作品から。選ぶに当たって、この「無月物語」含め、目ぼしい諸作をざっと読み返した。以下10作品、初出年の昇順。長編「内地へよろしく」以外は青空文庫で公開されている。
「黒い手帳」(37年)
「海豹島」(39年)
「生霊」(41年)
「内地へよろしく」(44年)
「黄泉から」(46年)
「西林図」(47年、鶴鍋を改題)
「予言」(47年)
「無月物語」(50年)
「猪鹿蝶」(51年)
「母子像」(54年)
# 「十選」(サイト内検索)。作家別作品リスト:久生十蘭。ヒューリック杯棋聖戦第91期|日本将棋連盟