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キーワード「戦争」の検索結果は以下のとおりです。

戦地の図書館

  • 2022/08/04 06:32
  • カテゴリー:読み物

兵士を待っていたのは、苦しく、心身を疲弊させる、退屈で、恐ろしい日々だった。長い間、ただ親指をいじりながら待機することもあった。戦場では、戦闘に従事している時間よりも、待機している時間の方がはるかに長かった。もしかしたら、待つということが何よりも心身の負担になっていたのかもしれない。

モリー・グプティル・マニング著「戦地の図書館-海を越えた一億四千万冊」(東京創元社、2016年)から(p70-71)。

アメリカ政府は、副題にあるように膨大な数の本を戦地へ送った。それは、娯楽や憂さ晴らしのためだけではなかった。兵士が戦争を戦い抜く勇気や不屈の精神を鼓舞した。二次大戦後、復員兵は大学で学び、高い教養を持つ中産階級を新たに形成していく一員となる。本の力もさることながら、糧食すらろくに手配できなかった敗戦国と比べる時、国力の差を思い知らされる。

知りすぎたマルコ

  • 2022/08/02 06:26
  • カテゴリー:読み物

ラクダに乗っているつもりが、ラクダに乗せられていることもある

アサドの喩え話にはラクダがよく登場する。引用は、ユッシ・エーズラ・オールスン著「特捜部Q-知りすぎたマルコ」吉田薫訳(早川書房、2014年)から(p325)。全561ページ2段組。日数かけて丁寧に読んだ。

アフリカから刺客が送り込まれる。そのビジネスは「平和を望まない人間たち、すなわち平和になると収入が脅かされる人間たち」(p341)がいる限り成立する。戦争や紛争が絶えないのも同じ理由だ。

シリーズ第5作。カールとアサドは、毎回、死にそうな目に遭うが今回それはなかった。

特捜部Q(サイト内)。バタフライ効果(p419)、ノキア(p524)

あの戦争と日本人

  • 2022/07/11 05:50
  • カテゴリー:読み物

歴史の教訓からもっと学ぶべきリアリズムが消えてしまうのは、日本人の非常に困ったところです。あえていえば、太平洋戦争の真の敗因は、日露戦争の勝利にあったのです。いや、なぜあのような愚かな戦争をしたのか、ということも、つきつめると勝利の神話のみを語り継いできたため、といえるかと思います。

半藤一利著「あの戦争と日本人」(文藝春秋、2011年)から(p67)。

東郷平八郎は、勝って兜の緒を締めよと言ったけれど、そうはならなかった。のちに教訓となるような不都合な事実は、勝ったという一点によって、帳消しにされてしまったのだ。海軍も陸軍も、洗いざらい事実を記録に残しているにも拘わらず、それらは秘され、別途編纂された官修戦史によって日露戦の美談のみが語り継がれることになった。

独ソ戦(サイト内)。海軍の「極秘明治三十七八年海戦史」全150巻と、陸軍の「手稿本 日露戦史」全51巻(p61)

ベイジルの戦争

  • 2022/07/09 06:27
  • カテゴリー:読み物

ひとは嘘をついたとき、脳みそのなかでその台本を読みなおすかのように、目が上を向き、そのあとまた下を向く

普通なら嘘は見分けられる。ところが、相手も然る者。「嘘が得意中の得意」で、嘘をつきながら「ぜったいに目を合わせない」。引用は、スティーヴン・ハンター著「ベイジルの戦争」公手成幸訳(扶桑社ミステリー、2021年)から(p248)。

スワガー・シリーズの著者スティーヴン・ハンターの比較的新しい作品。大いに期待して読んだのだけれど肩透かしを食らった。

ボブ・リー・スワガー三部作(サイト内)

参院選の争点、安全保障

地方紙沖縄タイムスのサンプルが郵便受けに投げ込まれていた。その日付けの社説は、参院選の争点として浮上している安全保障政策を話題にし、「力だけでは、平和は守れない。各党には、選挙戦を通じて外交を重視する総合的戦略を示」せ、と求めている。

在京六紙の社説は、この争点に関し、各党にどんな注文をしているだろうか。見てみよう。

ウクライナ危機に「乗じるかのように、一気に軍事力の増強に走るのが、真に平和と安定につながるのか。外交を含めた総合的な戦略を構築することこそ、政治が果たすべき役割である」。「力のみに頼らない、説得力のある対案を示せるかが問われる」(朝6/24)

「求められるのは、東アジアでウクライナのような事態が起きることを防ぐ手立て」。特に中国とは「首脳レベルの対話に力を入れるべきだ。米中対立のはざまで、日本の安全をいかにして守るのか。そのためにどのような外交と防衛力が必要なのか。参院選では、冷静かつ現実的な論戦が求められる」(毎6/27)

「戦争は外交の失敗にほかならない」。「外交安保政策の基本は、戦争を始めない、始めさせないことだ。防衛力増強に偏った姿勢はこの基本に背くことにならないか。参院選でも問われなければなるまい」(東6/27)

「各党の訴えは、外交への言及が総じて物足りない。敵対的な他国の行動への抑止は、防衛力だけではなし遂げられず、対話の積み上げや国際協調が欠かせない」(経6/24)

「中国や北朝鮮などが開発している極超音速ミサイルは、今の日本のミサイル防衛システムでは迎撃できない可能性が高い。脅威の増大を踏まえ、安保政策を現実的に議論すべき」。防衛予算について「財源の議論も不可欠」(読6/22)

日本の防衛費GDP比1%では「平和が破れかねない情勢を正直に説明し、有権者の理解を一層広げなくてはならない。中朝露の新型ミサイルを迎撃しきれなくなったため、反撃能力保有が急務になった点も同様である。日本と世界の安定的な秩序を守るための分かりやすい論戦を求めたい」(産6/22)

日米同盟はアンタッチャブルなのか。その是非について議論せよとはどこも書かない。

さて、6/27週の六紙社説は、そのほかに、日興の不正調査報告や、米の中絶判決、能登の群発地震、生活保護判決、梅雨明け猛暑と節電、香港返還から25年、G7サミット、NATO体制強化、日韓首脳外交などを題材とした。

六紙社説、なぜ日本に米軍基地が次期総裁と米国の都合(サイト内)。[2022参院選 安全保障]外交重視の議論もっと(沖6/29)

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